特撮ヒーローの条件  

 昭和の古きヒーローに慣れ親しんだ者からすれば、最近の特撮ヒーローは本当に酷い。それを整理してみます。ゴレンジャーや仮面ライダー等を長年見てきた感覚から言えば、正義には一定の形があります。
 まずは悪い人々が悪いことをしていなければなりません。子どもでも分かるように、黒を基調とし、怪物や化け物的な要素を含むおどろおどろした雰囲気が必要です。彼らは悪いことをたくらむだけでなく、実際に悪いことをしていなければなりません。民間人、まったく罪のない人々を殺したり、いじめたりすることが必要です。幸せな家庭や子どもの夢や温かな関係が、悪い人々によって崩されていく、そこが重要です。彼らには思いやりとかいたわりといった心はありません。弱い者は潰してしまう。権力や富を一手に握って自己満足に浸る。それだけなのです。世の中にもたくさんありますよね。
 そして次に正義の味方が登場します。ヒーローは出来るだけ遠くからやってくるとよいでしょう。なぜならばもし目の前だったら彼らの悪事を事前にストップできるはずだからです。ストップできなかったということは、やはり遠いところにいたはずなのです。そして遠くから助けにやってくるのです。もし目の前にいたとしても、いったん遠くへ引き下がり、そして車かバイクか、何かに乗ってやってくる。それがヒーローなのです。
 そして悪者とヒーローが対峙して、それぞれが意気込みや思いを伝えあうことが必要です。自分はヒーローであって悪事を許さないということを説明しなければなりません。自分は強いということを示すのです。ポーズを決めたり、大声をあげたりして、自分の強さを表現することが重要です。これが見事にかっこいいのです。一方悪者は、自分たちが謝る気がないということ、自分たちは自分たちの道を貫き通すぞという説明が必要です。そしてこれまた自分たちは圧倒的に強いということを説明するのです。自信満々です。怖そうに見えるのです。弁解したり、謝罪したりすればヒーローは不要だからです。悪者ががんとして下がらないから、ヒーローは戦う必要が生じるのです。両者が対峙して、言葉でやりとりをするという時間は大切です。緊張感があるからです。
 戦い始めればあっという間に勝利するのがヒーローです。悪者は悲痛な悲鳴を上げ、時には悪の組織に「万歳」を捧げて、そして死んでいく。いつまでもぐだぐだやっていては強さが見えてきません。ヒーローがヘトヘトになって苦しんでいるようであれば、ヒーローではありません。さっと片づけて、勝利のポーズまで決める。それがヒーローです。そして和以後は平和な日常に戻ります。ヒーローはどこかに向けて走っているのがいい。バイクでも車でも何でもいい。地平線の向こうを目指して遠くへ行く。今ここには止まっていないのです。
 こんなかっこいいヒーローが、最近はなかなかありません。もう酷すぎるのです。さっとテレビをつけてみると、全く違うのです。どうやら主人公は若い美男美女のようです。そしてコミカルな会話をしているのです。楽しそうです。悪者もまた、なんだか楽しそうです。陰謀のようなものはあるのですが、一般市民を苦しめるようなシーンは殆どありません。さらに困ったことに、悪者といってもヒーローっぽい雰囲気さえあるし、ヒーロー側も、何か口喧嘩のようなものをしています。とにかくずっと喋っています。そしてさっさと変身してしまう。一般の市民、それこそおじさんとかおばさんとか、商店の人々とか、駅員さんとか、そういう普通の人はなぜ出てこないのでしょうか。
 登場してすぐに戦い始めます。早い。30分のドラマの前半の段階でもうドンパチです。物語という形をなしていません。脚本家は誰でしょうか。CGが多用されていて、雰囲気はすごいのですが、なぜかかっこよくないのです。小道具が大量に出てきて、ポーズのようなものはありません。なぜあんなふうになっているのでしょうか。昔のヒーローは変身の前にかっこいいポーズを決め、そこに機械音が聞こえてきます。かっこよかった!最近のヒーローは戦い始めれば、ずっと戦っているのです。あろうことか、30分で完結しないのです。戦っている間で終わるのです。びっくりしました。気がつけば玩具の宣伝になっているのです。次の週は冒頭から戦っているのです。ずっと。え?一週間戦っていたことになりますよ?しかもどっちが有利か分からないくらいの接戦がずっと続くのです。ヒーローはそんなに弱かったのでしょうか。とにかくCGはすごい。重火器の量もすごい。しかし全く迫力がない。一応敵は死ぬのですが、最初に威勢のいい言葉を言っていないので(一週間前なので何があったかを忘れている)、敵がやられても決してスッキリしません。敵が死んで、ふたたび落ち着いたと思ったら、また美男美女がごちゃごちゃ話しているのです。非常に複雑な設定があるようで、見聞きしない単語が登場して、ああだこうだと喋っている。これは何なのでしょうか。
 私の感覚は間違っているのでしょうか。古いだけなのでしょうか。どう考えても記憶にも心にも残らないようなヒーローが登場して、1年たったら変わる。玩具はあっという間にガラクタになる。悲しいのです。かっこいいヒーローはどこへ行ったのでしょうか。特撮のヒーロー番組を制作している人々はどんなふうに思っているのでしょうか。分かるけどそれは出来ないということなのか、あるいは感性そのものが変わってしまったのか。私たちが子どもの頃に見ていたヒーローは今みてもそれなりに楽しめますし、かっこよかったという実感は今でもあります。しかし最近の特撮ヒーローはどうなのでしょうか。子どもたちが夢中になってみているようには思えませんが。
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Posted on 2020/01/10 Fri. 22:07 [edit]

category: アニメ・特撮

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