「ガンバの冒険」感想(2)  

 ガンバの冒険の魅力、良さについて語っています。
2)子どもにも分かりやすい展開、起承転結。
 26話全体を眺めてみると、のんびりとゆっくり静かに流れる回(2、6、10、13)もあります。11、12、17あたりも、わりとのんびりした回だと思う。それ以外の回は命を賭けて戦うような非常に激しいテンポの内容となっています。のんびりした回というのは、一見したところ退屈な回のように思えますが、後の回を魅力的に引き立てるという点でとても大事です。ようになっているのです。のんびりと静かな回があるからこそ、次の激しい展開が心にずっしりと来るのです。その意味では26話全てが重要な位置づけを帯びた回だと思います。総集編として作られた劇場版は1、2、10といった静かでほのぼのとした回と、ノロイとの戦いの回で構成されていました。とても良い構成だと思います(後半を盛り上げるためにも前半は静かでゆったりしていた方がいいのです)。
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 テレビは30分で一話です。連続物とは言いながら、出来るだけ一話完結型に近いつくりをしています。すなわち前半は静かでのんびりとしているが後半では危機が迫るという形になっているのです。小さい子が見ることを想定しているのでしょうか。分かりやすくてとても良いと思います。最近のアニメは、続きモノだということで一話の意味を崩してしまうようです。30分の中でも起承転結のうちのんびりした「承」の部分を出来るだけ減らして「転」を多く入れようとする。さらには「結」の部分を削除し、知り切れトンボのような形にして次回を楽しみにさせることもあります(あの展開はとてもキモチワルイものです!)。結局分かりにくさだけが強く印象付けられてしまうのです。本作品は、毎回とても気持ちよく終わります。最後のシーンに、美しい風景を眺めて終わるという回がいくつかありました(12話や16話)。とてもいいですね。
 オープニング曲の明るくて楽しい姿は印象的です。小さな子どもたちは何も深い気持ちを持たずに、たんだか楽しそうだという思いで、テレビの前に座ると思います。ぐいぐいと引っ張っていくテンションを感じます。4歳の子どもでも歌えます。勿論ここにJ-popやアイドル的な要素は入りません。劇場版「カワウソ」で使用されている曲は、もうアイドル的要素が入っています。小さな子どもは覚えることも歌うこともできません。
 BGMがとても良いですね。全体的に言ってその使用は控え目です。主題歌のメロディを含むBGMが使用されていてとてもいいですね。主題歌の強烈なインパクトを受けて、その印象を想起するかのようなBGMです。驚くシーンや不安なシーンでは、まるで効果音に近いようなBGMが流れます。そして、深い悲しみの時にはゆっくりとした印象的なBGMが流れます。クリークがザクリとともに命を落とす場面、太一が死んでいく場面などの重い場面のBGMは最高のつくりでした。それに比べると劇場版「カワウソ」では、BGMが多すぎて、必要以上の演出であるように感じました。「これは楽しい話です、はい、楽しんで下さい」という製作者側の意図が伝わってしまう。製作者側の意図によってぐいぐい引っ張られるような印象です。TV版は、適度な演出により、リアリティがあるように感じてくるのです。そこに存在していて、目の前で会話があって、トラブルがあって、笑いがあって、という形で理解できるのです。あくまでこちらが主体的に物語の世界を積極的に理解しようとするのです。これは比較してみると良く分かると思います。
 壮絶な戦いの後が、あっさりしているというのも本作品の良さです。ザクリとの壮絶な戦いの後、クリークが死んだ後のリスたちの会話が殆ど描かれていませんでした。ボーボが告白しようとするがそれもさっと流してしまう。また26話の最終回もそうです。それまでの壮絶な戦いが終わってノロイを倒したにもかかわらず、その後のネズミたちの会話があまりにも少なく、今までのことを振り返ったり、今後のことを話したりするようなシーンが殆どありませんでした。とはいえ、最小限度の分量で、しっかりとした描き方をしています。あまりにもカラッとした展開に、最初は驚きました。しかしよく考えればこれでいいのです。起承転結のバランスだと思います。大人は物語の奥に多くのものを推察できますから、つい、そこまで描いて欲しいと思うのですが、しかしながらそれはやりすぎです。サービス過剰になってしまう。本作品はちょうどよい時間的感覚だと思います。
 子どもが見ても分かるし、子どもも感動する。一見したところ子どもっぽい画風と明るさではありますが、大人が見ると子ども以上に感動するはずです。最近のアニメは大人向けの恋愛アニメか、子ども向けの単純アニメかのいずれかに二分されてしまう。子ども向けと大人向けを分けてしまうと、子ども向けは幼稚で、大人向けはシリアスという形で内容まで二分してしまう。これはあまり良くないと思います。ガンバは、子ども向けの明るく楽しい部分と大人向けのシリアスで感動的な部分とをうまく融合させた名作だと思います。
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Posted on 2019/11/26 Tue. 21:53 [edit]

category: アニメ・特撮

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