ドラマ『ザ・クイズショウ』感想  



ラーメンズの片桐仁が主人公を演じています。


深夜に放送されていたシーズン1が良かったことから、
櫻井翔(嵐)主役で、シーズン2が製作されました。
 このドラマの構造は複雑です。どんな人間にも隠したい過去、忘れたい過去があり、夢や希望があり、複雑な人間模倣や深層心理があります。それを、クイズショウというバラエティ番組の中で浮き彫りにしていくのです。司会者の田崎(片桐仁)は、オーバーに表現しながら、時にはピエロのように、踊ったり、驚いて見せたり、クイズの問題を出していきます。回答者は、最初は、素直にクイズに答えるのを楽しんでいきますが、後半になるにつれて、個人的な質問になってきます。「何その質問!?」と回答者は驚き、困惑します。例えば、「整形手術をする前のあなたは、この4つのうち、どれ?」という問題が出るのです。「そんなことをばらさないで欲しい!」4つの選択肢が出されますが、真実が一つだけあります。それを言えば「正解です!」となるのですが、言いたくない過去を公衆の面前で暴露したことになってしまいます。「いや、その答えは、私だけが知っているはず!」この司会者は答を知らないはずだから、違う答えを言っても、ばれないだろう。しかしその瞬間。司会者は鋭い目つきでこういいます。「わたしは、あなたの、すべてを、知っています!」こうしたジレンマの中で、回答者は自分の過去をさらけ出し、本性を現していくのです。回答者の、いわば影の部分、悪い部分を暴いていくさまは、まるでヒーローが悪魔退治をしているかのようで、爽快です。
 司会者MC 田崎徹(片桐仁)プロデューサー 山之辺健吾(戸次重幸)この二人の対照性が見ものです。片桐仁は、むさくるしくて、パッとしない、病的な、いわばダメ人間。   (失礼! 私も、同じような人間です!)一方、上ノ辺は、スマートで清潔、知性的で、ちょいワルで、冷静なモテ男この対照がいいのです。そして片桐仁の強烈な個性がどんどん全面に出てきて、全て見終わる頃には、この男の不思議な魅力に取りつかれてしまうのです。「一見すると魅力的ではないような人間が、物語の中でどんどん魅力的な存在に見えてくる」これこそ、感動的な物語の条件です。片桐仁が、病人から健康体に戻っていくさまと、戸次健吾が、謎の人物から悪魔に豹変していくさまとが、対照的に現れていくのです。(それを見た後で、DVD-BOXの映像特典を見ると、 特に「ガンダム云々」のあたりは、微笑ましく思えてきます。)シーズン2の嵐の櫻井翔と関ジャニの横山裕とでは、あまり対照的ではありません。どっちもイケメンですから、その点で感情移入しにくいのです。つるんとしていて、すっとしていて、デコボコした人間的な味というのがなかなか出てこないのです。櫻井翔は、最初から最後まで、純な少年、健全で健康体に見えます。横山裕は、やはりこちらも少年(ワルな少年)風で、とても敏腕プロデューサーには見えません。最後になるにつれて悪魔性がむき出しになってくる、というふうには見えません。
 さて、私は教員ですから、教育の問題と重ねてとらえたいと思います。この、ザ・クイズショウの司会者は、学校で授業をすすめる「教師」と同じような立場にあると思います。
 <類似点 その1>ザ・クイズショウにおけるクイズは、授業で教員が行っている「発問」と同じです。「これは何でしょう?」という問いは、純粋な質問ではありません。なぜならば、司会者はその答えを知っているからです。主導権は司会者にあります。教師は一定の答えを用意して、授業を進めるのです。クイズショウにおいて、司会者は、場を盛り上げたり、驚いて見せたりします。問い以外のさりげない表情や、イヤミ等で相手を動揺させます。そのような環境を確立して、回答者を導く。その意味では授業に似ています。
 <類似点 その2>ザ・クイズショウの中で、回答者はもがき苦しむことになります。この場面では、自分自身の人生全体が問題となっているのです。これは授業と似ています。「いや、授業とはもっと楽しくてゲームっぽいものだ」という反論もあるかもしれませんが、それは本当の深い授業には到達していないような状態だと思います。自分の仮説が正しいかどうか、自分の疑問が解けるかどうか、そのように自分の人生をかけて探求するべきものが、授業です。子どもたちが回答に苦しみ、知的な意味で格闘するということが、理想です。授業の中で、子どもを苦しめることもあれば、感動させることもある。そう考えると、このクイズショウと授業は似ているのです。
 <類似点 その3>クイズショウは決して姿を現して言葉を発することのない一般視聴者という存在を前提にしています。全ては誰かに見られている状態なのです。(意外にもこのことは多くの教育学者は指摘していません)教室に存在しない誰かを想定しているのです。それは社会であったり、外部であったり、そういう意味になります。ですから、見せる、見られるというのがとても重要なのです。発表は目の前の級友に向けて行われるだけでなく、不特定多数に向けて行われるのです。教師も、司会者も、ホンネではありません。誰かに見られているという前提で、壮大な演技をしているのです。このクイズショウの世界は、とても深い世界です。一人ひとりが悩み、苦しみ、成長するという私的な空間であると同時に、みんなに見られる(あるいは見せる)という、公的な空間なのです。中間地点にこそ、様々な感動やドラマが含まれていると思うのです。この素晴らしいドラマを、是非みなさんで堪能しましょう。(DVD-BOX、VAP,INC、2008年発売、15,960円)
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Posted on 2012/03/09 Fri. 19:28 [edit]

category: テレビドラマ

thread: テレビドラマ - janre: テレビ・ラジオ

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コメント

コメントありがとうございます。

zebraさま。コメントありがとうございます。人間の心の奥底深くまで入り込む、素晴らしいドラマでしたね。今後も宜しくお願いします。

URL | ごんたろう #79D/WHSg
2013/03/21 23:17 | edit

諸刃の剣 クイズショウ

シリーズ1,2ともにボクもみました。

 自分の暴走で 解答者のプライバシーに触れる問題を出し続け テレビ局を解雇された山之辺(シ-ズン1)。

姿は なかったのですが 彼のアシスタントディレクターだった本間。
彼も山之辺同様 テレビ局での権限を乱用し暴走してしまい 山之辺は責任を感じてたので 本間に忠告しにいったのですから。

結局 このクイズショウのシステム自体は メディア業界では ”絶対やってはならない”コト。

その証拠に山之辺も本間も  自らの出したクイズショウで返り血を浴びる皮肉な結果・・・

”諸刃の剣”には 手を出さない方が身のためな教訓になるドラマでした^^

URL | zebra #79D/WHSg
2013/03/19 21:58 | edit

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