映画『ギャラクシークエスト』感想  

 スタートレック(風の?)のテレビ番組を製作している役者たちの話です。彼らは自分たちの役(さらにその番組)に、誇りを持てなくなっていました。バカバカしい、くさいセリフ、等と思うようになっていました。スタートレックというのは、いわば「夢」です。カッコ良さと美しさと、人間の人間らしさとが、凝縮されているのです。ヒーローを描いたドラマです。しかし、役者たちは、自ら演じているその役のことを好きになれないでいます。子どもっぽいとか、ばかばかしいとか、そんなふうに思うのです。役者たちを嘲笑するような人もいます。 スタートレック = カッコ良さ、ヒーロー、夢 馬鹿にする人々 = 現実主義 「そんな下らないこと」という見下しの眼差しという対立図式がこの映画のテーマだと思います。この映画は、たんなるスタートレックのパロディではありません。スタートレックをバカにしたりからかったりしているものではありません。かといってスタートレックを崇拝しているようなものでもありません。スタートレックはあくまで象徴しているだけです。仮面ライダーでも、ウルトラマンでも同じことです。
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 さて役者たちのもとに宇宙人サーミアンたちが来ます。宇宙人たちはこんな話をするのです。自分たちには高い技術はあるけれども、戦う精神がない。好戦的な軍隊と戦っているけれども、とても勝てない。助けて欲しい。役者たちは、ビックリします。なぜわれわれのところへ?宇宙人たちは、テレビ番組の電波をキャッチしたのです。娯楽番組とは思っておらず、記録映画だと思ったのです。それで宇宙人たちは、スタートレックを模範して、本物の巨大宇宙船を建造したのです。役者たちは、宇宙人たちを助けるために、彼らの星へ向かい、好戦的な侵略軍と戦う!というのが本映画の全体の流れです。宇宙人サーミアンたちは、とても人間らしく、とても温かい存在として描かれています。愛想笑いをします。嬉しい、悲しい、という感情を素直に表現します。100%の善人です。人をだますとか、裏切るとか、ましては人を傷付けたいとか、自分が優位にたとうとか、そういう心境は全く感じさせません。見た感じはただのおじさんなのですが、心のきれいな人に見えてくる。
 …ふと思うのです。これはスタートレックを素直に感動し、素直に愛している、視聴者「子ども」です。子どもというのは、年齢的な意味での子どもではなく、子どものような素直で純粋な精神を持った人という意味です。宇宙人サーミアンは、とても豊かに感情表現をします。とても、魅力的に見えます。作品としてのスタートレックは、彼らに何を与えているのでしょうか。それは、カッコ良さだと思います。もうダメだと諦めそうになった時、形勢逆転で、敵を追い込んでいくカッコ良さ。当然そこには、嘘をついて相手を欺くということが含まれています。空想や幻想ではなく、私たちが生きるために必要な心すなわち「勇気」です。負けると分かっていても、負けそうだと予想されていても、自分よりも相手の方が完全にパワーで圧倒しているとしても、なお戦いを挑むとう勇気です。知恵を使って、恐怖に打ち勝つ。スタートレックはそんな姿を描いている。
 いわゆる演劇、演技というのは、ウソであって、虚構であって、真実や人間性とは直接的には関係がないと思われるかもしれません。しかし実際に演じている人は、二つの人格を生きているわけです。役が自分自身に影響を与えるというのは、よくあることです。役者たちは、確かに真実という意味では、宇宙船に乗って戦ったわけではありません。模型、全て偽物なのです。しかしそこで演じたことがら、勇気という姿は、ある意味では、真実の姿です。サーミアンたちが次々に死んでいきながら、役者たちの助けを求めていく姿を見て、役者たちは、心が揺さぶられます。本気で戦おうという気持ちになります。ここで役者たちは、自分たちが表現してきたスタートレックの世界は、人々に勇気を与えるということを再確認したのです。作品と役に誇りを持つ。「ネバーギブアップ」「望みを捨てるな」冒頭のシーンで彼は言う時には、なんだかちゃちくてコミカルに見えますが、映画の後半になればなるほど、さまになってきて、どんどん重みが増してきます。
 それ以外にも多くの笑えるシーンが含まれていて、映画を見終えた時の深い愛情と充実感を得ることが出来ます。爆破装置が最後の1秒前で停止するところや、しだいにシガニーの胸がひらけてくるところ(色気)も、大笑いしながら見れます。「ブラックホールを経由して地球に帰る」も、それもギャグです。伏線もしっかりしていて、前半で登場した少年、中盤で登場する岩の巨人などが、後半でしっかり生きてきます。このあたりは、ベタすぎるくらいがちょうどよい。
 前半、ダメ人間として描かれた人物たちは、ラストでみんなめちゃくちゃカッコイイ姿になっています。リアルな現実の全てを、カッコイイヒーロー物ドラマに変えてしまう。そんな大きな力を感じます。数多くの見せ場を作りながらラストに向かう展開は見事です。歓喜と拍手を送りたくなります。何度も見たくなる映画です。本映画を、繰り返しみながら、自分自身の人生を思い返します。自分は、サーミアンのような素直な心を遠い昔に失ってしまったのではないか。自分は、役者たちのような勇敢さとカッコ良さを、最初から諦めてしまったのではないか。面白かった、というようなレベルではありません。B級映画ではありません。超A級映画です。勇気とカッコ良さは、私たちの人生には不可欠なものです。子ども向けのヒーロー物は、それを表現してくれる。大人になった後も、全ての人々の日常生活の中に無くてはならないものだと思います。大人になった今、昔の仮面ライダーやゴレンジャーなどを見ると、懐かしいだけではない、とても大切なものを見つめることが出来ます。
 ですが、最近のヒーロー物は、イケメンがぺちゃくちゃ喋っていることが多く、勇気やカッコ良さは殆ど感じられません。(涙)(1999年アメリカ公開、ドリームワークス)
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Posted on 2015/01/11 Sun. 00:48 [edit]

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