『みんなが おしえてくれました』感想  

(作・絵:五味太郎、絵本館、1983年。)歩き方は猫が、飛び越え方は犬が、登り方は猿が教えてくれた。本書は奥が深い。馬は走る技術を教えたのではなく、カッコ良さを教えている。鶏は散歩の技術を教えたのではなく、気持ちよく散歩をする生き方を教えている。私たちは技術よりも美徳を学ぶのだ。また蝶々が花の香りや味を教えるというよりは、子どもが蝶々から学ぶ。梟からは夜を学ぶ。学習者の側が「教えてもらった」と感じるのである。細かいことは学校の先生が教えてくれる。本書は、痛烈な大人批判の書でもある。最後の「立派な人」というのは、おそらく皮肉を込めて言っているのだ。
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Posted on 2015/11/24 Tue. 21:28 [edit]

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『わすれられないおくりもの』感想  

(作・絵:スーザン・バーレイ、訳:小川仁央、評論社、1986年。)アナグマの死に際して動物たちは思い出を語り合う。モグラはアナグマからハサミの使い方を学んだ。カエルはスケートの滑り方を学んだ。キツネはネクタイの結び方を、うさぎは料理の仕方を、それぞれ教えてもらった。老人は知識や技術を伝え、若者はそれを学ぶ。学んでいる時にはそれに熱心であるから意識せず、学んだ後は身についているため意識しない。老人が死んだ時、ふとした時にその功績に気づく。この老人こそ教育者のあるべき姿である。本書のテーマは、死の受容あるいは優しさといったものではなく、文化や学問が永遠に発展し続けることだ。
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Posted on 2015/11/24 Tue. 21:29 [edit]

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『しりたがりのふくろうぼうや』感想  

(作:マイク・サラー、絵:デービッド・ビースナー、訳:せなあいこ、評論社、1992年。)梟の親子。子が母に問う。「星はいくつあるの?」「空はどれくらい高いの?」「海にどれくらい波があるの?」母親は、即答せずに、自分で確かめるように促す。子の梟は、それらが自分の身体の範囲よりも遥かに壮大であるということに気づく。さらに「海はどれくらい深いの?」と問うた時には、それまで学習したことを応用して答を出そうとする。母親は直接的には何も教えていない。本書は、学びの基本が、自分自身の問題解決にあるということを示す。そこで得た答は自分自身の財産となる。最後に子は、母親が大好きだという。自然に湧き出る感情だ。
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Posted on 2015/11/24 Tue. 21:30 [edit]

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『とけいのほん①』感想  

(作・絵:まついのりこ、福音館書店、1993年)小さな子どもにとって「今何時?」という質問に答えるのは難しい。時計は、最も身近で最も簡単な「暗号」である。機械的なからくり仕掛けがあって、一定の秩序に従って動く。長い針が1時間で一周するということ。短い針が12時間で一周するということ。本書はその仕組みをたんたんと丁寧に、発問をしながら説明していく。子どもは途中で「あ、分かった」と声を出すであろう。それは喜びである。時計は常に一定であるからこそ、先を予測できるし、またそれを見ながら秩序のとれた生活を送ることが出来る。私達は時計を、そして未来を信用するのだ。
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Posted on 2016/01/08 Fri. 21:49 [edit]

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『ぼくはいろいろしってるよ』感想  

(作:アン・ランド ポール・ランド、絵:青山南、福音館書店、1999年)梟は知恵の象徴だ。少年は様々なことを知っていると自負する。蟻が自分の身体よりも大きなものを平気で運んでいるということ。カタツムリにとって葉は船だ。そして自分もまた波に乗る。本書で少年は、自分の生き方と関連させて周囲の状況を理解している。知識は自分の人生と関連してこそ初めて意味を持つ。さらに少年は、穴を掘ることも、高い木に登ることも簡単だと言う。実際には難しいかもしれない。ようはその仕組みを理解したということだ。さらに少年は、家の仕組みやケーキの仕組み、宇宙の仕組みも知っているという。知識は応用可能である。
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Posted on 2016/03/13 Sun. 00:04 [edit]

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『ねむる』感想  

(作・絵:長新太、文溪堂、2002年)青い横線は深い呼吸を表現している。すやすや眠ると気持ちいい。子どもは今自分は眠っていると気づく。トイレも、牛乳も、パジャマも、テレビも掃除機も、皆ぐっすりと眠っている。皆生きているから眠るのだと彼は考える。研究だ。友達はその話を聞いて笑う。先生は、夢や子守歌のことを研究したらと勧めた。しかし彼はそこには興味はない。彼の問いは、どうすれば眠るのか、睡眠中に何をしているのかではない。なぜ眠るのかということだ。昼間は変化や活動であるから、夜には休息が必要。彼の言う「生きる」とは環境や宇宙全体の単位を指している。
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Posted on 2016/04/01 Fri. 21:40 [edit]

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『てんぐのがっこう』感想  

(作:やぎたみこ、文溪堂、2014年)黄色いインコのテンは、天狗の学校に通う。様々な試練を乗り越えて天狗になる。本書は私たちが通う学校の理念をよく表現している。学校という場には高い目標(本書では人助け)がある。安心で安全な自宅から離れて、多少は無理をする。無理をするがゆえに成長できる。そして多くの学友がいる。学校は、洗脳や調教の場ではない。人間はそこで成長し、それゆえ人生を豊かに楽しむことができる。人を助けるということは、自分自身が幸せになる近道である。多くの学友に囲まれている姿は、とても微笑ましい。親としては子の成長こそが最高の喜びである。
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Posted on 2016/04/24 Sun. 21:26 [edit]

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『1ねん1くみの1にち』感想  

(写真と文:川島敏生、アリス館、2010年)教室の上の端からカメラでとらえる。教室には多くの声や出来事がある。バラバラで活動する時もあるが、全員で挨拶をしたり、揃えて文を読んだりする時もある。調べたり考えたりする時もあれば、遊んだり、食事をしたりする時もある。一日の流れがあって、時間とともに様子も変わる。誰もが経験した生活空間だ。まずはトラブルのない平和な日常からスタートしたい。狭い空間ではあるが、注目したり、距離感を意識したり、時には無視したり、様々な技能が必要だ。1年生は忙しい。雑音が交差し、それを先生がまとめていく。先生はおそらくシンボルだ。
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Posted on 2018/12/05 Wed. 00:24 [edit]

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『さよなら しょうがっこう』感想  

(小種小学校のみんな、中川ひろたか、偕成社、2009年)廃校となった小学校。子どもたちの味のある絵によって、つい先日までの日常生活が語られる。居残り勉強をした、池や崖に転落した等の苦い思い出もある。鶏は死んでしまい、金魚は最後の一匹。壁、階段、水道で遊ぶ。おそらく最後の1年間は思い切って校舎を楽しんだのであろう。外からヘビが入ってくる。学校の本当の形を最もよく知るのは子どもたちだ。この豊かな学校が無くなると分かった瞬間から、それまでの当たり前の何気ない風景、音や匂いが、ふわふわと軽いものに包まれていく。小学校は目の前の実体から、私たちの心の中へと移動するのだ。
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Posted on 2019/06/12 Wed. 21:10 [edit]

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