『100まんびきのねこ』感想  

(作・絵:ワンダ・ガアグ、訳:石井桃子、福音館書店、1961年)モノクロが不気味。とても恐ろしい話だ。老夫婦が寂しさのあまり猫を飼おうとする。丘を越えるとそこには100万匹の猫がいた!1匹なら可愛くても大量だと気持ちワルイ!自分を飼えと求める猫たち。まさにホラー。仕方なく全員連れて帰る。(なんと無責任な!)猫たちは池の水を飲みほし、草も食べ尽くした。そんなに世話できない。仕方なく老夫婦は最もきれいな猫を一匹飼うと宣言する。(なんと残酷な!)すると猫たちはお互いに食べ合う。争いを避けた1匹の猫が残る。…いや、彼は、実は争いの勝者ではないか?最も恐ろしいのは人間の欲望だ。
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Posted on 2011/12/10 Sat. 00:18 [edit]

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『よるのようちえん』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:中辻悦子、福音館書店、1998年)夜の幼稚園には多くの幽霊?たちが登場する。子どもにとって深夜とは不思議で不気味な時間帯だ。何かがいるはずである。幼稚園という場所は子どもたちと幽霊たちとで共有しているのだ。幽霊といっても楽しそう。怖くはない。すっとさん、さっとさん、もっとさん、じっとさん。おそらく彼らの正体は、昼間の子どもたちの楽しい遊びの残像あるいは余韻であろう。幽霊たちの色や形は、園の施設ブランコや滑り台の形を反映しているように見える。また昼間に飛び交った言葉がそのまま「すっとさん」「じっとさん」という名前になっているのかもしれない。
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Posted on 2012/07/11 Wed. 23:09 [edit]

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『なおみ』感想  

(作:谷川俊太郎、写真:沢渡朔、福音館書店、2007年)6才の少女と人形なおみとの世界。人形って…怖い。人間ではないのに、あたかも人間であるように扱う。一緒に遊んだりケンカをしたり。なおみの表情は場面によって違うように見える。なおみが意志を持つのは、少女の心の中で会話が自由に広がるから。想像力による。後半で、なおみが死ぬのはなぜか。少女の自由な想像力が無くなったから?いや、逆だ。想像力がゆえに死んだ。すなわち少女が「殺した」のだ。むしろそれにより少女は助かったのだ。人形に名前があるのに少女には名前がない。少女の存在感はあまりにも希薄で、人形の存在感は強烈だ。
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Posted on 2013/06/01 Sat. 22:22 [edit]

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『あけるな』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:安野光雅、復刊ドットコム、2006年)不安と好奇心いっぱいで扉を開ける。そこに見えてくるものは、自分自身が生み出すイメージだ。恐怖とは、自分の想像力。背を向ける孤独な男はまさに自分自身。しかし扉を開けた主人公は、目の前の彼が自分自身だとは知らずにさらにその扉を開けてしまう。ビー玉は小さな願望か。扉をあけると子どもの頃の思い出。とても懐かしくて心地よい。幸せな気分に浸る。しかしそれはとても危険だ。扉を開けた主人公は二度と抜け出すことのできない世界に入ってしまった。読者は、その世界が不気味な虚構世界だと分かるが、主人公は分からない。永遠の死か。


Posted on 2013/07/06 Sat. 23:43 [edit]

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『いるのいないの』感想  

(作:京極夏彦、絵:町田尚子、編:東雅夫、岩崎書店、2012年)少年が祖母の家に泊まる。無数の猫がいる。静かで暗くて不気味だ。このような広くて空虚な空間には、何かがいるような気がしてくる。猫は夜行性であるから、私たちの視点とは異なる別の視点がそこに交差する。本書は猫の視点で描かれているのだろうか。少年はふと気付く。天井に誰かがいる! おじいさんだ! こちらをじっと見ている。ひょっとしたらそこに「いる」のかもしれないし、幻覚かもしれない。私たちが幽霊を怖がるのは、それが正体不明の不可解な存在だから。同じ立場で会話が出来ない非対称的存在だからである。恐怖の世界がうまく表現されている。
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Posted on 2013/12/01 Sun. 23:35 [edit]

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『めっきらもっきらどおんどん』感想  

(作:長谷川摂子、絵:ふりやなな、福音館書店、1990年)静かな森の中、かんたが適当な言葉で歌を歌うと、暗い山の中へ導かれてしまう。そこに化け物(妖怪?神隠し?)3人が突然現れる。ももんがのように舞うしっかかもっかか、宝を集めるおたからまんちん、縄跳び名人のもんもんびゃっこ。最初は一人ずつ、さらにみんなで遊ぶ。かんたがおかあさんと名前をつぶやくと、再びもとの場所に戻る。化け物の世界と人間の世界は、森の奥でつながる。その扉を開くのは特別な言葉だ。おそらくかんたの遊びたいという気持ちに共鳴した化け物がやってきたのだ。夢中で遊んでいると我を忘れ、戻れなくなってしまう。
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Posted on 2015/12/24 Thu. 22:13 [edit]

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『たべる』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:井上洋介、出版社:アートン、2006年)お菓子ばかり食べ、食事が入らない太った少年が、まるで地獄のような場所に放り出される。化け物たちは少年を食べようとする。おなかが空いたので仕方なく虫を食べる。化け物は空腹の象徴か。…本書は決して食べ物の大切さを伝えるという道徳教育ではない。確かにグロテスクで、キモチワルイ。しかし子どもは本書を楽しんで読む。子どもは怖いものやキモチワルイものを見たいのだ。平和で豊かな日常生活がひっくり返り、主人公が悲しみと絶望に陥っている姿を、やはり興味を持ってとらえているのである。まさに本書は、ホラーであり、ギャグである。
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Posted on 2016/02/09 Tue. 22:50 [edit]

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『地獄』感想  

(監修:宮次男、構成:白仁成昭&中村真男、装幀:貝原浩、風濤社、1980年)悪いことをしてきた五平が、地獄へ向かって進む。閻魔王は針地獄を指示するが、お地蔵様によって助けられる。その時、五平は地獄を見た。本書は江戸時代に描かれた地獄絵をもとに構成した絵本。なかなかの残酷シーンである。ただその根底には愛がある。地獄とは厳密には死んで終わりという場所ではなく、永遠に苦痛を味わい続ける半殺しの場所である。生きている時に他者に苦痛を与えたり他者を悲しませたりした者は、その報いを受ける。人は死ぬ直前に、自己の人生を反省する。悪いことをした者は、報いを受けることで成仏したいと願うのであろう。
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Posted on 2016/02/20 Sat. 21:05 [edit]

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『あずきとぎ』感想  

(作:京極夏彦、絵:町田尚子、編:東雅夫、岩崎書店、2015年)少年は、夏休みに祖父の家に行く。山、川、森など、結構な田舎だ。川で泳ごうとするが、祖父に止められる。特に淵は深くて危険だ。「しょきしょきしょき」何の音だろうか。祖父は「おばけが小豆を洗う音を出している」という。洗っているのではなく、洗う音を出しているという。目的は何か。分からない。蒸し暑い夏の日、静かな時間の流れの中で、頭がぼーっとしてくる。川は冷たくて気持ちいいが、気をつけないと大変なことになる。底が見えずに波も立っていない。少年の表情はつるんとしていて人形のようだ。川の底の妖怪に食べられてしまうかも。
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Posted on 2016/02/21 Sun. 22:18 [edit]

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『うぶめ』感想  

(作:京極夏彦、絵:井上洋介、編:東雅夫、岩崎書店、2013年)二人目が産まれる際に母子ともに命を落とす。それを深い悲しみで見つめる父と子。母の悲しみと悔しさが、妖怪・姑獲鳥となって現れる。幻想的な絵によって子どもの気持ちがよく表現されていると思う。ただ、私は本書に対しては否定的である。現在では妖怪とか幽霊といったテーマは、恐怖であると同時に娯楽でもある。本書からも僅かではあるが恐怖を楽しんでいる印象を受ける。過度な演出だ。本書の主人公は少年か?姑獲鳥か? 現代医療では多くの場合、生と死の狭間で苦しみつつも母子ともに助かる。その経験があれば本書を楽しむことはできない。
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Posted on 2016/03/03 Thu. 21:42 [edit]

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