『おおきなかぶ』感想  

(作:A・トルストイ、絵:佐藤 忠良、訳:内田 莉莎子、福音館書店、1998年)おそらく父母は働いて不在。近所にも頼る人がいない。そんな貧しい暮らしの話だ。抜けない=困った、大きい=嬉しい、という二つの感情が同時に起こる。自然の恵みに感謝しよう。リズミカルな楽しい話ではない。動物たちが協力するのは一緒に食べられるから。奉仕ではない。協力者がどんどん弱者になるのは、どの地点で抜けても「みんなが必要だった」と言えるからであろう。服をひっぱると力は出ないが、ロープを引っ張るという箇所を省略しているのだ。文章量を最小に抑えている。「ねずみがかじって抜けた」が原典らしいが、こっちの方がいい。
-- 続きを読む --
スポンサーサイト



Posted on 2013/07/20 Sat. 23:48 [edit]

category:   3) 食べること

tb: 0   cm: 0

『はらぺこあおむし』感想  

(作・絵:エリック・カール、訳:もりひさし、偕成社、1976年)ジャンクフードはよくない、野菜を食べましょう、食べたものが貴方の身体になります、等というメッセージを受け取ることもできる。しかしいっそう強調されているのは、このカラフルな色彩であろう。この色彩感覚は、外国、とくに欧米のものである。アフリカともアジアとも違う。ラストの蝶もまた極めて派手だ。目がチカチカする。本書はカラフル=よい、地味=わるいという価値観を含む。しかし風や温度や音や質感などは捨象されている。日本人はもっと地味で落ち着いていて、しかも自然の美しさや風情を感じる存在だと思う。…「きれい」だけでよいのか?
image[116
-- 続きを読む --

Posted on 2014/12/28 Sun. 00:41 [edit]

category:   3) 食べること

tb: 0   cm: 0

『グリーンマントのピーマンマン』感想  

(作:さくらともこ、絵:中村景児、岩崎書店、1983年)壮大な間違い。本書を読んだらピーマンが食べたくなる? ありえない。子どもがピーマンの苦味が嫌というならば諦めた方がいい。説教の代わりに芸術作品を使うべきではない。食育ならばピーマンの栄養素や生命性を取り上げ、「ピーマンは美味しい」と伝えるべきだ。苦いことを認めるべきではない。また、本書の主人公はカッコよくない。ヒーローならば子どもに嫌われたくらいで泣くな! なお、バイキンはまだ何も悪いことをしていない。ピーマンは免疫力を高めるのであって、殺菌するわけではない。苦さや臭さを武器にするべきではない。全て問題。
image[123
-- 続きを読む --

Posted on 2015/05/07 Thu. 23:50 [edit]

category:   3) 食べること

tb: 0   cm: 0

『いただきまーす!』感想  

(作:二宮由紀子、絵:荒井良二、解放出版、2003年)ハンバーグを食べる前に少し考えてみる。料理してくれた人がいる。精肉業や農家の人々がいる。見えないものを想像する力が大切だ。目の前の一つの事物には自然や社会がつながっている。その際、「かわいそう」という心境が湧いてくる。牛や鶏に対する共感。その心境も大切だ。しかし食べないわけにはいかない。動植物の全てが何かを食べて生きているからだ。ただ恐怖に脅える必要はない。自然や社会のことを思いつつも、全てに感謝しつつ、素直においしくいただく。おいしいという気持ちも大切である。温度と匂いが伝わる。おいしそうなハンバーグ!
06(03)04.jpg

Posted on 2015/11/30 Mon. 22:04 [edit]

category:   3) 食べること

tb: 0   cm: 0

『いわしくん』感想  

(作・絵:菅原たくや、文化出版局、1993年)海のイワシが、港に運ばれて店頭に並ぶ。少年の家の食卓に並び、少年がイワシを食べる。次の日に、少年はプールで泳ぐ。イワシの気分としては自分が泳いでいるかのようだ。確かに陸揚げされた段階でイワシは死んでいる。しかしその身体は次の生命の一部となってつながっていく。本書で描かれるイワシはとても明るく、爽やかだ。死んだ後も人間の身体の一部であることを、まるで喜んでいるかのようだ。動物を殺してしまうのは仕方ない。それを無駄にせず、感謝し、明日の人生を豊かに生きることが、死んだ動物たちにとってせめての救いかもしれない。
06(03)05.jpg

Posted on 2016/04/14 Thu. 21:39 [edit]

category:   3) 食べること

tb: 0   cm: 0

『しんでくれた』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:塚本やすし、佼成出版社、2014年)牛が死んでハンバーグになってくれた。ぼくが生きるために、彼らは死んでくれた。しかしぼくは死んでやれない。ぼくが死んだとしても、誰かがぼくを食べるわけではない。ぼくが死んだら皆が悲しむ。本書は、動植物の死を踏まえて私たちが生きているという現実を提示する。ふと思う。牛は自ら進んで人間に命を差し出したわけではない。人間の死体を食べない(あるいは飼料にしない)のはなぜだろう。私たちは自分たち人間だけが特別な存在であると位置付けている。それは傲慢であり、残酷なことではないか。文字の少ない絵本は様々な思考を引き出す。
06(03)06.jpg

Posted on 2016/04/27 Wed. 21:37 [edit]

category:   3) 食べること

tb: 0   cm: 0

プロフィール

カテゴリ

最新記事

最新コメント

お客様

検索フォーム

リンク


▲Page top