『えのすきな ねこさん』感想  

(作・絵:西巻 茅子、童心社、1986年)洋裁屋のうさぎ、漁業のきつね、大工のさる。一方、ねこは絵を描く。三人から「何の役に立つのか」と問われる。ある日、ねこは三人の似顔絵を描き、みんなは喜ぶ。これは個性の話ではなく、職業の話だ。三人は生産的な職業であり、ねこは相手を喜ばせるサービス業である。すなわち芸術の大切さではなく、芸術家という職業の大切さを訴えている。ラストは印象的。ねこは三人が自分の絵を理解できないと分かったときに笑う。見下しているかのようであり、不気味だ。本書は、少しだけ芸術家の優位を説いているように見える。ルサンチマン? 少し怖い。
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Posted on 2012/09/04 Tue. 21:37 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『チンチンでんしゃのはしるまち』感想  

(作・絵:横溝 英一、福音館書店、2002年)長崎市内を走る路面電車。朝6時、点検後に出発。まだ暗い。市場、駅前の停留所。多くの人々、子どもやお年寄りも利用する。まさに生活の一部であり、皆に愛される存在である。乗客がベルを鳴らすと次で停車する。このアナログな雰囲気がいい。右に曲がる方法、雪では砂をまく等、機械が詳細に描かれる。ここで描かれる機械はとても人間的であたたかい。チンチン電車は風景の一部だ。読者は最後の地図を眺めながら再度、個々の風景を思い出すこともできる。本書は写真ではなく絵で表現される。それにより、人々の意識の中の風景であることが伝わる。
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Posted on 2013/08/17 Sat. 23:08 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『ふうせんクジラ』感想  

(作・絵:わたなべ ゆういち、佼成出版社、1989年)街ではお祭り。クジラのボンが風船を食べると、ぷかぷかと浮いてしまう。ふうせんクジラは、農場や街並み、道路やビルを見下ろしながらゆっくり移動する。サッカー場でゆっくり降りると、人々が集まる。クレーンやトレーラー等で大行進。警察が誘導し、ボンは海へと帰っていく。巨大なクジラと小さな人間、重さと軽さ、高さと低さ等、様々なスケールの違いが描かれる。一人ひとりの表情や振舞いは個性的であり、それを全体で見渡せば社会や国家が見えてくる。クジラ輸送作戦を通して人々の気持ちは一つとなり、みなで大きな感動を得ることができる。
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Posted on 2013/08/24 Sat. 10:48 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『きみのかわりはどこにもいない』感想  

(作:メロディー・カールソン、絵:スティーブ・ビョークマン、訳:徳永大、いのちのことば社、2000年)100匹の羊を率いる羊飼いが、迷子になった1匹を必死で探す。探すのは当然だが、本書が言いたいのは唯一性が大切だということだろう。それは奇異だ。真に唯一性を大切にするのであれば、他の動物と交わり、自然界で自由に育てるべきではないか。飼い主は、羊毛を得るという自己利益で羊100匹を集め、そこで単調な仕事をさせている。(sheepにsはつかない)勿論、羊は羊の身分を超えてはならない。個性的な活躍が出来ない。その上で飼い主はあたかも優しい紳士のようにやってきて、一人ひとりが大切だと公言する。それは偽善ではないか。
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Posted on 2015/07/18 Sat. 22:43 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『しごとをとりかえただんなさん』感想  

(作・絵:ウィリアム・ウィースナー、訳:あきのしょういちろう、童話館出版、2002年)小さな家の若い夫婦。夫が自分は大変なのに相手は楽をしていると不満をもらす。ならば夫婦の仕事を交換しようということになる。ところが家事は大変だ。夫は何をやっても失敗ばかり。妻は、外の仕事は難なくこなす。文句を言わず、お互いの仕事を少しずつ手伝うことにしよう。本書は、夫婦の生活云々というよりはむしろ、仕事の分担がテーマである。仕事にはある程度の向き不向きがある。しかし完全分業になれば、相手の気持ちが分からなくなり、一つの仕事を分けているということを忘れてしまう。時には交換したり、支え合ったりすることが重要だ。
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Posted on 2015/12/05 Sat. 21:59 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『ありとすいか』感想  

(作・絵:たむらしげる、ポプラ社、2002年)人間家族が、食べきれなかったスイカを置いて帰ったと思われる。蟻の視点にたってみれば、目の前に巨大なスイカが置いてあるのだから、さぞ歓喜に包まれるであろう。ただ、そのまま運ぶのは難しい。切り離して運ぶことにしよう。みんなで一つの大事業を成し遂げるため全員協力体制で臨む。国家プロジェクトか、運動会のようでもある。全員で一つのことを成し遂げるのは感動的であるが、その際の個々の動きや変化もまた大切にしたい。本書では蟻一匹一匹に会話がある。声が聞こえてきそうだ。一人ひとりの豊かさを大切にする国家や社会が必要である。
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Posted on 2016/01/14 Thu. 21:22 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『むしたちのえんそく』感想  

(作:得田之久、絵:久住卓也、童心社、2007年)虫たちがタガメ池に遠足。リュックを背負ってゆっくり歩く。カブトムシ村長が号令をかける。道案内はハンミョウだ。ハナムグリ、チョウトンボ、エダシャク等、聞きなれない虫もいる。タガメ池に到着。タガメたちがお出迎えだ。虫たちは池で遊ぶ。冒険船もある。弁当を食べてお昼寝。午後は水中散歩。暗い夜道は蛍の光が頼りだ。本書は、一匹一匹の小さな言葉もよく描かれる。個性を受け入れつつも全体として行動することが大切だ。また挨拶や心遣いもよく描かれている。私たちは社会生活の中で、いわば実践的に、様々な礼儀や能力を培っていくのだ。
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Posted on 2016/02/11 Thu. 22:59 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『くれよんのくろくん』感想  

(作・絵:なかやみわ、童心社、2001年)子どもたちの想像だろうか。黄色や赤や緑のクレヨンたちが、森やお花を描いていく。黒のクレヨンが寂しそう。仲間に入れてもらえない。しばらくすると色同士がケンカを始める。黒は全部を塗りつぶし、シャープペンシルで削って、夜空の花火を作り出す。カラフルな原色が個性を主張してしまえば、全体としてはぐちゃぐちゃになる。いったん気持ちを落ち着かせ、静かな雰囲気を作り出すのは黒や白の役目である。特定の色がないということが最大の個性となる。仲間外れくらいの調度良い距離感が、全体をまとめるパワーにもなる。私はタモリを想起する。
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Posted on 2016/02/22 Mon. 21:30 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『まっくろネリノ』感想  

(作・絵:ヘルガ=ガルラー、訳:矢川澄子、偕成社、1973年)ネリノは真っ黒。カラフルな兄たちは遊んでくれない。真っ黒だから存在感が薄い。生まれつきだから仕方ない。ある日、兄たちが捕まってしまう。ネリノの救出作戦が始まる。彼はなぜ助けるのだろうか?仲よくしたいという願いがあるから。救出後にネリノは黒という個性を認められ他の兄たちと同じように生活できるだろうか。それは難しいと思う。勿論、対等に仲良くすることは理想である。ネリノと兄たちは違った人生を送ってきた。カラフルという意味の個性よりも、はるかに距離がある。ネリノはその距離感を感じながらも、共に歩むという道を選ぶ。
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Posted on 2016/03/05 Sat. 21:30 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『ひっこしだいさくせん』感想  

(作・絵:たしろちさと、ほるぷ出版、2010年)5匹のねずみが引越し。ゴミの山で材料を集めて新居を製作する。機械いじりの得意な「くろ」が土台を考案。皆で力を合わせて屋根や床を作る。力持ちの「ちゃたろう」は腕の見せ所。お洒落好きな「しろ」はお風呂を作る。くいしんぼうの「ぐれ」は食糧貯蔵庫をいっぱいにする。お絵かきが得意な「ちびすけ」は綺麗な部屋を作る。5匹の共同作業で立派な新居の完成だ。全員がアイデアを出し合い、一つの仕事をなしとげる。これこそ集団生活の意味だ。個性も生きてくる。皆で歌を歌うのはなぜか。一人の仕事よりも皆の仕事の方が喜びが増大するためだ。
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Posted on 2016/03/14 Mon. 21:42 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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