『まほうのえのぐ』感想  

(作・絵:林明子、福音館書店、1997年)よしみは、兄から絵の具を借りる。少しずつ離れていく兄の様子がとてもよく伝わる。最初は色を重ねてぐちゃうちゃにしてしまう。その後、りす、へび、からす達が寄ってきて、みんなと一緒にお絵かきが始まる。最後には立派な絵が完成(裏表紙)する。紙を換えずに絵を追加したようだ。「色が素敵だ」といっているうちはうまく描けない。筆の一つひとつに、あたかも動物の気持ちが入っているかのように描けば、全体としては生き生きとした作品に仕上がる。魔法というのは、たんなる道具に生命が宿るということである。真の主人公はしゃくとりむしか。
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Posted on 2015/12/13 Sun. 21:08 [edit]

category:   5) 豊かな表現

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『えをかく』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:長新太、講談社、2003年)地面、空、太陽、海、山と絵を描く。森、森に住む鹿、鹿の走る野原、野原に咲く花、等連想によって世界が膨らむ。絵は作者の意識で秩序付けられる。作者の連想力は生命力だ。絶滅した恐竜、飛ぶ魚、プランクトン、変化する天気など、豊かな世界が拡がる。思いつきで追加することもある。後半は人間を描く。母との食事、時計、睡眠時の夢、死にかけた人間、悲しみ、玩具、縁日、老婆を描く。それは人間が生きているということを表現している。(縁日は性の象徴か)…名前を書いて終わり。さらに次の白い紙に向かう。白紙に戻すこともまた生きる力だ。
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Posted on 2015/12/13 Sun. 21:09 [edit]

category:   5) 豊かな表現

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『としょかんねずみ』感想  

(作:ダニエル・カーク、訳:わたなべてつた、瑞雲舎、2012年)図書館は閉館後とても静かになる。図書館の隅に住むネズミのサムは、本を読むのが大好きだ。本との出会いとは、その向こう側の壮大な世界、文化や歴史との出会いでもある。ある日、サムは自分で本を書こうと思った。サムの空想の広がりは、目の前の本の世界を超えてしまったのである。情報の受け手が情報の発信者になるのは自然なプロセスである。サムが自分の本を本棚に並べると子どもたちはそれを手に取り、興味深くそれを読んだ。子どもたちは本の作者に会いたくなる。直接言葉を交わしていないが、このやりとり全体がコミュニケーションである。
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Posted on 2016/02/16 Tue. 21:42 [edit]

category:   5) 豊かな表現

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『ピカソの絵本』感想  

(作・絵:結城昌子、小学館、1993年)こういう解説があって初めて身近に感じることが出来る。ピカソは子どものような感覚で遊びながら描いたのではないか。特に人間をどのように表現するか。物理的な法則を無視すればその分だけ表現の幅が広がる。一枚の紙にコラージュのように様々な断片を並べれば全体として不思議な感覚が出来上がる。自分自身の印象や感覚をうまく表現できる。工夫すれば、迷ったり、怒ったり、泣いたりする動画を、静止画に入れ込むこともできる。直立不動のモデルには興味はない。壊れる姿こそ、人間の人間らしい姿であろう。美術館に展示するようなものではない。
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Posted on 2016/04/19 Tue. 21:29 [edit]

category:   5) 豊かな表現

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『さかなはさかな』感想  

魚と蛙の会話。蛙は陸の世界、動物や人間等について魚に自慢する。魚はそれを想像していく。その想像図は独特である。魚は、陸に上がろうとしたがうまくいかず、蛙に助けてもらった。再び水の中を見るとそこに美しい世界を見出す。魚は結局、そこを離れることが出来なかった。これは悲劇だろうか。魚の身体能力には限界があるが、想像の世界は自由に広がる。おそらく魚が想像する世界は、蛙が見た現実と同じくらい美しいはずだ。本書は、私たちの意識は自分の身体を超えることが出来るということを示唆している。現実はそれほど美しいものではない。
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Posted on 2016/09/29 Thu. 22:33 [edit]

category:   5) 豊かな表現

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『おしゃれがしたい ビントゥ』感想  

(作:シルヴィアン・A・ディウフ、絵:シェーン・W・エヴァンス、訳:さくまゆみこ、アートン、2007年)西アフリカの村の生活がよく描かれている。少女ビントゥは長い髪のみつあみに憧れるが、今は短くて出来ない。そんな少女の悩みに対して周囲は優しい。少女の悩みは孤独な世界での悩みではない。話を聞いてくれる人もいる。おしゃれよりも大切なことがあるよと言いながらも、大きくなったら髪は伸びるからと慰めてくれる人もいる。弟が生まれたり、パーティに参加したり、ある危機を救ったりしながら、少女は多くの人々の間で豊かな世界に触れていく。みつあみという遠くて小さな夢は、おしゃれに豊かに生きるという近くて大きな夢へと変わっていく。
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Posted on 2017/08/25 Fri. 20:03 [edit]

category:   5) 豊かな表現

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『なつのあさ』感想  

(文と画:谷内こうた、至光社、1970年)夏の朝、少年は丘の上に登り蒸気機関車が走るのを眺める。麦藁帽がかわいい。広い草原と遠くの汽車が印象的だ。強い風が吹いている。その後、少年の頭の中で汽車の音が響いてくる。遠くの宅地も汽車に見えてくる。さらには、汽車の絵を描いてみたくなる。少年の心は一日中、汽車である。よほど好きなのだろう。汽車が魅力的なのは、遠くの方でチラリと見えるからである。彼の頭の中に世界が広がるのは、そこに静かで広い空間が広がっているためである。夏の朝がみんな白く見えるのは、彼が真っ黒な汽車を期待しているからだ。私は阿蘇を思い出した。
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Posted on 2018/01/14 Sun. 00:07 [edit]

category:   5) 豊かな表現

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