『だいくとおにろく』感想  

(再話:松居直、絵:赤羽末吉、福音館書店、1967年)流れの急な川に鬼が橋をかけてやる。その代わりに大工の目玉をくれという。大工が断ると、ならばおれの名前を当てろという。鬼の目的は何か。不可思議さと残酷さが恐怖となる。目は、真実を見つめるもの、大工たちを指示するもの。鬼は大工をからかっているのか?自慢したいのか?あるいは自分を認めて欲しいのか?あるいは認めて欲しくないのか?目玉を食べたいのか?子どもに目を与えるのか?様々な解釈が可能だ。名前を知っている大工は、後半でわざと名前を間違える。大工は、余裕の心で、鬼をからかう。恐怖に打ち勝つことができたのだ。名作。
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Posted on 2011/10/24 Mon. 21:17 [edit]

category:   1) 脅威と戦う

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『スイミー 小さなかしこいさかなのはなし』感想  

(作:レオ・レオニ、訳:谷川俊太郎、好学社、1986年)仲間を失い、たった一匹となったスイミーは、失意と孤独の中で新しい世界と出会う。まさにピンチはチャンス。私達は深く落ち込む時、そこで大切なものを得る。そう信じて勇気を出そう。広い世界を知ったスイミーは知恵と勇気を得て、多くの新しい仲間とともに巨大な魚に立ち向かう。子どもは物語をそのまま受け止めるが、大人はこれまでの様々の人生経験を思い出す。小さなスイミーは孤独な自分に見える。クラゲやイソギンチャクは何に見えるだろうか。ちなみに小魚の大群の中で色の違う一匹は右からも左からも見えるので何ら問題ではない。

Posted on 2011/11/01 Tue. 21:32 [edit]

category:   1) 脅威と戦う

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『かちかちやま』感想  

(絵:赤羽末吉、再話:小澤俊夫、福音館書店、1988年)狸の策略で、じいさまがばあさまを食べてしまう。その様子は一見すると残酷であるが、これは食うか食われるかの命がけの世界での話であり、人間が自然や野生と戦う話である。狸は狸であって人間ではないので、狸に共感する必要はない。本書に道徳教育を求めるべきではない。前半で狸がしっかり残酷なことをしているから、後半における兎の復讐がカッコよく見える。恐怖を乗り越えるヒーロー物語として読もう。ただし敵は手ごわい。兎は正面からぶつかれば負けるかもしれない。狸を欺き、隙をついて相手を殺す。知恵では兎が上だ。まさに必殺仕事人。
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Posted on 2011/11/09 Wed. 21:48 [edit]

category:   1) 脅威と戦う

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『100まんびきのねこ』感想  

(作・絵:ワンダ・ガアグ、訳:石井桃子、福音館書店、1961年)モノクロが不気味。とても恐ろしい話だ。老夫婦が寂しさのあまり猫を飼おうとする。丘を越えるとそこには100万匹の猫がいた!1匹なら可愛くても大量だと気持ちワルイ!自分を飼えと求める猫たち。まさにホラー。仕方なく全員連れて帰る。(なんと無責任な!)猫たちは池の水を飲みほし、草も食べ尽くした。そんなに世話できない。仕方なく老夫婦は最もきれいな猫を一匹飼うと宣言する。(なんと残酷な!)すると猫たちはお互いに食べ合う。争いを避けた1匹の猫が残る。…いや、彼は、実は争いの勝者ではないか?最も恐ろしいのは人間の欲望だ。

Posted on 2011/12/10 Sat. 00:18 [edit]

category:   2) 恐怖の世界へ

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『うまかたやまんば』感想  

(絵:赤羽末吉、再話:おざわとしお、福音館書店、1988年)山姥が追いかけてくるあたりはまるでホラー映画だ。逃げる馬方。やっと助かったと思ったらそこは山姥の小屋だった! しかしここから馬方の復讐が始まる。自分は神様だと山姥をだまし、うまく山姥を導いて殺す。ギャアッという悲鳴がすごい。窮地に立ち、恐怖のどん底。もうだめたと諦めるのではなく、知恵を使って敵の弱点をつく。ドキドキしながらも冷静さを保つ。山姥をからかう余裕もある。これこそ勇気だ。真の勇気とは、パワーで勝利することではなく、自らの恐怖心を克服する力だ。馬方がカッコよくみえる。勇気の大切さは子どもに伝えたい。

Posted on 2012/02/18 Sat. 20:35 [edit]

category:   1) 脅威と戦う

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『よるのようちえん』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:中辻悦子、福音館書店、1998年)夜の幼稚園には多くの幽霊?たちが登場する。子どもにとって深夜とは不思議で不気味な時間帯だ。何かがいるはずである。幼稚園という場所は子どもたちと幽霊たちとで共有しているのだ。幽霊といっても楽しそう。怖くはない。すっとさん、さっとさん、もっとさん、じっとさん。おそらく彼らの正体は、昼間の子どもたちの楽しい遊びの残像あるいは余韻であろう。幽霊たちの色や形は、園の施設ブランコや滑り台の形を反映しているように見える。また昼間に飛び交った言葉がそのまま「すっとさん」「じっとさん」という名前になっているのかもしれない。
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Posted on 2012/07/11 Wed. 23:09 [edit]

category:   2) 恐怖の世界へ

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『ももたろう』感想  

(作:松居直、絵:赤羽末吉、福音館書店、1965年)鬼とは、強くて乱暴で、私達を簡単に殺してしまう存在。すなわち私達の恐怖心そのものである。鬼は鬼であって人間ではないので、共感は不要。ももたろうは鬼が略奪を続けるから退治に行く。彼は出自に謎がある。彼自身も普通の人間として生活すべきではないと自覚していたのだろう。彼はパワーはあるが知恵に欠ける。それを補うのが三匹の動物だ。人間は怖くて誰も協力できない。彼らは吉備団子によって同盟関係となる。最終的には、正義が暴力に勝つことが示される。まさにヒーロー物語の原点だ。なお、ぼんやりした画風は昔話をよく表現している。

Posted on 2012/12/15 Sat. 23:56 [edit]

category:   1) 脅威と戦う

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『なおみ』感想  

(作:谷川俊太郎、写真:沢渡朔、福音館書店、2007年)6才の少女と人形なおみとの世界。人形って…怖い。人間ではないのに、あたかも人間であるように扱う。一緒に遊んだりケンカをしたり。なおみの表情は場面によって違うように見える。なおみが意志を持つのは、少女の心の中で会話が自由に広がるから。想像力による。後半で、なおみが死ぬのはなぜか。少女の自由な想像力が無くなったから?いや、逆だ。想像力がゆえに死んだ。すなわち少女が「殺した」のだ。むしろそれにより少女は助かったのだ。人形に名前があるのに少女には名前がない。少女の存在感はあまりにも希薄で、人形の存在感は強烈だ。
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Posted on 2013/06/01 Sat. 22:22 [edit]

category:   2) 恐怖の世界へ

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『あけるな』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:安野光雅、復刊ドットコム、2006年)不安と好奇心いっぱいで扉を開ける。そこに見えてくるものは、自分自身が生み出すイメージだ。恐怖とは、自分の想像力。背を向ける孤独な男はまさに自分自身。しかし扉を開けた主人公は、目の前の彼が自分自身だとは知らずにさらにその扉を開けてしまう。ビー玉は小さな願望か。扉をあけると子どもの頃の思い出。とても懐かしくて心地よい。幸せな気分に浸る。しかしそれはとても危険だ。扉を開けた主人公は二度と抜け出すことのできない世界に入ってしまった。読者は、その世界が不気味な虚構世界だと分かるが、主人公は分からない。永遠の死か。


Posted on 2013/07/06 Sat. 23:43 [edit]

category:   2) 恐怖の世界へ

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『いるのいないの』感想  

(作:京極夏彦、絵:町田尚子、編:東雅夫、岩崎書店、2012年)少年が祖母の家に泊まる。無数の猫がいる。静かで暗くて不気味だ。このような広くて空虚な空間には、何かがいるような気がしてくる。猫は夜行性であるから、私たちの視点とは異なる別の視点がそこに交差する。本書は猫の視点で描かれているのだろうか。少年はふと気付く。天井に誰かがいる! おじいさんだ! こちらをじっと見ている。ひょっとしたらそこに「いる」のかもしれないし、幻覚かもしれない。私たちが幽霊を怖がるのは、それが正体不明の不可解な存在だから。同じ立場で会話が出来ない非対称的存在だからである。恐怖の世界がうまく表現されている。
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Posted on 2013/12/01 Sun. 23:35 [edit]

category:   2) 恐怖の世界へ

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