『ぼちぼちいこか』感想  

(作:マイク・セイラー、絵:ロバート・グロスマン、訳:今江祥智、偕成社、1980年)消防士になろうとするが梯子か壊れてしまう。パイロットになろうとするが飛行機が壊れてしまう。カバは全ての仕事において失敗する。子どもはこのカバの何を笑うのか。読者は二つに分かれる。彼が愚かであることを嘲笑し、彼を見下そうとする人と、全ての人が失敗することに共感し、生命の躍動を素直に楽しもうとする人である。本書は後者を求めており、私も後者を楽しむ。失敗してもいいじゃないか。「ぼちぼちいこか」という言葉は、自然体で生きる素晴らしさを示している。目標到達に固執し、失敗すると絶望するお固い人間に対する批判でもある。
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Posted on 2012/07/17 Tue. 23:34 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『おさるとぼうしうり』感想  

(作・絵:エズフィール・スロボドキーナ、訳:松岡享子、福音館書店、1970年)帽子を頭の上に重ねて売る行商人がいた。真面目さが伝わる。寝ている間に猿たちが帽子を奪ってしまう。猿は木の上にいる。返してくれ! 帽子売りが手を挙げると、猿も手を挙げる。こちらの動作を真似る。自分の動きを真似されるとからかわれたような気になる。行商人は一層強く怒るが、猿はその姿をも真似してしまう。考えてみよう。猿はこちらをからかっているのか? 否、たんに真似ているだけだ。猿の気持ちになってみよう。表紙はそれを示している。真面目な人間ほど、問題解決は困難になる。押してだめなら引いてみよ。そんなゆとりも必要だ。
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Posted on 2015/12/09 Wed. 22:31 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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『ねずみくんのチョッキ』感想  

(作:なかえよしを、絵:上野紀子、ポプラ社、1974年)母に編んでもらった大切なチョッキ。貸して欲しいと頼まれる。アヒル、サル、ライオンらに貸してあげる中で、大きくなってしまう。もうチョッキとしては使えない。ガックリしてしまうねずみくん。本当は貸したくなかったはずだ。さて私たちは、ねずみくんの姿を見て何を思うか。優しい者は最後に損をするという教訓か。彼が不幸になっている姿を笑うのは気がひける。本書が示しているのはいくら善意であっても傷付くことがあるということだ。最後の頁でゾウと遊んでいる。本書は、悲しみに苦しむよりも、乗り越えて楽しく生きよと伝えているようだ。
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Posted on 2015/12/09 Wed. 22:32 [edit]

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『ぶたのたね』感想  

(作:佐々木マキ、絵本館、1989年)狼は走るのが遅い。いつも豚を捕まえることができない。狐に相談すると、豚の種なるものをもらった。育てると大木にたくさんの豚がなる。(これは厳密には木の実である)たまたま象が走り去り、せっかくの豚たちが全部落ちてしまう。…そしてやはり逃げられてしまう。狼は、少し知恵を使えば豚を捕まえることは可能だ。穴に誘い込むとか。捕まえた後もなぜ縛っておかない? すなわち狼は知恵に欠けるのだ。やっとつかまえた豚に蹴られてしまうのだから、ケンカも弱いのだ。にもかかわらず足が速くなりたいとだけ願うあたりがマヌケ。そこを笑おう。
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Posted on 2015/12/09 Wed. 22:33 [edit]

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『どうすればいいのかな』感想  

(作:渡辺茂男、絵:大友康夫、福音館書店、1980年)表紙は裸のくまさん。目の前にはシャツ、パンツ、帽子、靴がある。それぞれ身に付け方がある。間違えてシャツをパンツのようにはいてしまうとどうなる?帽子を靴のようにはいてしまうとどうなる?…その絵が、なんとも笑える。間違えてこそ正しさが実感できる。本書は、正しいことを教えているというよりは、間違えることの意味を問うている。当たり前といえばそれまでであるが、当然のことを敢えてずらしてみれば、なんだか不思議な世界が浮かび上がる。間違えるということを、広い心で受け止め、笑って進むことが大切だ。そのうち気にしなくなる。
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Posted on 2015/12/28 Mon. 22:34 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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『あつさのせい?』感想  

(作・絵:スズキコージ、福音館書店、1994年)あまりにも暑いと頭がぼーっとしてしまう。馬は駅のプラットフォームに帽子を忘れ、その帽子をかぶった狐は自らのカゴを忘れ、カゴを拾った豚が中を見る。温泉道具だ。よし温泉に行こう。忘れてしまったり、落としてしまったり、落ちているものを自分のものにしたり。あるいは自分のものを誰かが使用していても分からない。この世界の動物たちは皆、意識が朦朧としている。それらは全て暑さのせいかもしれない。裏表紙を見ると、それが撮影だったことが分かる。全部映画の話なのか。ただ暑さは、おそらく本物だと思う。ぐたーっとした暑さが伝わる。
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Posted on 2016/02/13 Sat. 21:33 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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『ほげちゃん』感想  

(作:やぎたみこ、偕成社、2011年)ぬいぐるみは、変な名前をつけられたり、雑に扱われたりする。家族が外出中に、ついに、怒りが込み上げてくる。家の様子はよく描かれている。…冷静に考えれば、持ち主の扱い方でぬいぐるみが復讐に出るというのは怖い話だ。持ち主は愛情で接しているのに、である。本書は、基本的には「そういう笑いである」という前提で作成されている。ぬいぐるみが怒り心頭で家のモノを破壊する姿に対して、読者が笑うように仕向けている。主人公は誰か。読者は本書の登場人物に共感することなく、ひたすら見下して笑うように読む。それは残酷な笑いだと思った。
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Posted on 2016/03/16 Wed. 21:47 [edit]

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『どうする どうする あなのなか』感想  

(作:きむらゆういち、絵:高畠純、福音館書店、2008年)猫2匹が鼠3匹を追いかけ、深い穴の中に全員落ちてしまう。鼠を食べてしまえば二度と出られなくなるから、協力が必要だ。しかしどの手順で出るべきか。鼠が先に出れば鼠はそこから逃げてしまうであろうし、猫が先に出れば、その後鼠を食べてしまう。まるで頭脳パズル。あれこれ思案する間に雨が降る。ぷかぷか浮いて、全員助かってしまう。しかしそれでもなお議論し続けてしまう。私たちは目の前のことに真剣になりすぎると、何のための議論かを忘れてしまう。難問を解くという作業は、知的好奇心を刺激する。議論を止めた時点で食べられてしまうぞ
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Posted on 2016/03/26 Sat. 21:30 [edit]

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『ロージーのおさんぽ』感想  

(作・絵:パット・ハッチンス、訳:渡辺茂男、偕成社、1975年)ある農場で、雌鶏のロージーが散歩に出かける。それを狐が狙う。ロージーに気づかれないように静かに近づく。しかし狐は、ドジを踏む。池に落ちたり、干し草に埋もれたり。最後には蜂に襲われてしまう。主人公は、ロージーではなく狐である。ロージーは何も気づいていないようだ。読者は、狐がこのまま行けば失敗するだろうと予測できる。予測通りに失敗する。読者は、ロージーと狐の視点を理解した上で笑う。私たちはたんに失敗や困惑を笑うというよりは、それぞれの空間的な位置関係を笑うのである。農場ののどかで広い空間を感じることができる。
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Posted on 2016/05/02 Mon. 21:46 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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『三びきのこぶた』感想  

(イギリス昔話、絵:山田三郎、訳:瀬田貞二、福音館書店、1967年)豚が人間のように動いているだけで笑える。三匹の家が藁、木、煉瓦と異なるのは偶然による。そこに深い意味はない。食べられる恐怖が遠くからやってくる。三匹目の豚は、知恵を働かせてオオカミから逃れようとする。最後は、食べられる側であった豚が、オオカミを食べてしまう。私たちのよく知る物語とは全く異なる。本作は、トムとジェリーと同様、コミカルな話だ。自然の摂理でもないし、友だちの話でもない。苦労すれば後が楽という教訓も、勇気が大切という教訓もない。純粋にユーモアの話である。オオカミの憤慨する姿を見て笑おう。味がある。
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Posted on 2017/03/14 Tue. 21:28 [edit]

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