『よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし』感想  

(作:及川賢治&竹内繭子、岩崎書店、2007年)巨大な看板に書かれた文字はおそらく周囲の大人たちの言葉であろう。ぎゅうにゅうをこぼして深く落ち込んだり、大人に叱られて深く反省したり、あるいは逆ギレしたりするような確固とした主体性は、よしおくんにはない。あ~れ~と流される、そのふんわり感が絵本全体に優しく漂う。絵本で描かれる牛乳はとっても牛乳らしく描かれていて、こちらまで匂ってくる。
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Posted on 2011/11/25 Fri. 22:07 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

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『もっちゃうもっちゃう、もうもっちゃう』感想  

(作・絵:土屋富士夫、徳間書店、2000年)おしっこが漏れそうなひで君。トイレを探しデパートにかけこむが、そこはキリン用トイレ。別の階へ行くと、こうもり用トイレ、さらに別の階へ行くとそこは… まさにファンタジーである。「こんなところじゃあ、おしっこできないよ~」という嘆き。おしっこが漏れるという生理現象は、本人は辛いが、見ている方は愉快でもある。私達は、外出先でトイレがなかったり、出口が分からなかったりすると、つい、イライラしてしまう。しかし一歩下がってみれば、そんなトラブルは全て笑いになる。広くて明るい心を持ちたい。「もっちゃう」の言葉も愉快だ。

Posted on 2012/01/05 Thu. 22:34 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

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『海は広いね、おじいちゃん』感想  

(作・絵:五味太郎、絵本館、1979年)子どもがあれこれ語りかけていても、おじいちゃんは半分くらいしか聞いていない。この距離感はとても大切だ。年齢が違うのだから対等な会話になるはずがない。孫が「船だよ」「だれか来るよ」等といってもおじいちゃんは生返事。読者は分かる。そこにはピンク色の不思議な宇宙人が!一向におじいちゃんは気付かない。宇宙人は象や馬に変身して子どもと遊んでいる。真に高度な文明を持つ種族ならば、地球に来てやることは、おそらく侵略ではなく遊びであろう。クッキーをもらってからはそれまでの世界が一変してしまう。こんなクッキー、私も欲しい。
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Posted on 2012/08/21 Tue. 22:53 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

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『パンダ銭湯』感想  

(作:ツペラ ツペラ(tupera tupera)、絵本館、2013年)一体何が面白いのか。パンダが銭湯に入るという点以外は、極めてリアルで写実的である。ファンタジーを描くにしては不完全であり、日常風景を描くにしても不完全である。物語として笑わせるのではなく、パンダのキャラクターで笑いをとろうとしている。その意味では一発芸のようだ。パンダの白黒模様は、雪景色や竹林での保護色だという。黒部分が洋服やサングラスだという表現は、大自然の摂理を小馬鹿にしているように見える。白人が黒人の肌の色を小馬鹿にするかのようだ。そもそも外見を茶化して笑うというそのあり方は、残酷な笑いではないか。
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Posted on 2015/08/28 Fri. 22:08 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

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『うえへまいりまあす』感想  

(作・絵:長谷川義史、PHP研究所、2003年)父母子の三人でデパートでお買い物。エレベーターに乗る。2Fは婦人服売場、5Fは紳士服売場、6Fは玩具売場である。購入するということは自分自身を少し変革することでもある。父母は下着姿となり、子は玩具に包まれる。本書は通常のデパートを超えて500Fまで昇っていく。そこはまさに異次元である。45Fは相撲売場、91Fは忍者売場、459Fは地獄の物産展だ。デパートは夢を売っている。私達はつい衝動買いをしてしまう。エレベーターは不思議なマシンである。エレベーターガールはその案内人。1Fに戻り冷静になる。そこは現実だ。
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Posted on 2015/12/29 Tue. 21:34 [edit]

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『かようびのよる』感想  

(作・絵:デヴィッド・ウィーズナー、訳:当麻ゆか、徳間書店、2000年)火曜日の夜8時。ガマ蛙たちが蓮の葉に乗ったままプカプカと浮く。蛙自身も驚く。音がしなければ誰も気付かない。人々は常に、暗闇には目を向けないからである。夜11時を過ぎる頃、小腹が空いた男が何かに気づく。蛙たちは庭の洗濯物にひっかかる。老婆の休む静かな家に入り込み、テレビを見る。朝日が差し込むと、不思議なパワーは切れてしまう。蛙たちは歩いて帰る。その場に残された大量の蓮の葉。翌週には。…本書が火曜日であるのはなぜか。おそらく平凡な日の平凡な夜、誰も暗闇を見ようとしないそんな時に、何か不思議なことが起こるのだ。
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Posted on 2016/01/18 Mon. 21:23 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

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『世界は気になることばかり』感想  

(作・絵:五味太郎、偕成社、2011年)気がついたのは僕だけ? ビルでは展覧会。広場の端っこは危険。ガイコツだらけの観光バス。都会の川を流れる桃。野球場の隅の蟻の野球。運動会の綱は、なんと蛇だった。無数の落ち葉の中には魚もいる。数々の島の中には動いているものもある。みんな気がついていないようだ。教えてあげた方がいいのだろうか? 読者は文章の意味を、絵の中から探し出す。文章以外の物語も発見する。本書は、全て彼の幻想かもしれない。だとすれば豊かな想像力だ。私たちは彼の世界が間違っていると言い切れるか?私たちの見ている世界もまた幻想なのかもしれない。
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Posted on 2016/02/14 Sun. 22:28 [edit]

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『くいしんぼうのあおむしくん』感想  

(作:槙ひろし、絵:前川欣三、福音館書店、2000年)何でも食べてしまうあおむしくん。少年は我慢させようとするが、あおむしは我慢できない。ついに家や森、町中を食べつくしてしまい、巨大化する。全てを飲み込んでしまい、最後に少年だけが荒野に残されてしまう。…本書は少年の妄想。実に少年らしい妄想だ。極めて小さい世界と地球という大きな世界とが奇妙にリンクしているという感覚。宇宙から見れば社会は米粒のようであるし、蟻から見れば人間は巨人だ。さらに自分の欲望を抑えることが出来ないという少年の素直な感覚、そこに友達が欲しいという感覚が入り込み、奇妙な物語を生み出していく。
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Posted on 2016/03/07 Mon. 21:45 [edit]

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『しらないまち』感想  

(作・絵:田島征三、偕成社、2006年)遠足の日、少年はバスに乗り遅れる。次のバスに乗ると行き先が違った。知らない町に降りてしまう。タンポポが歩き、道端に小鳥が生えていた。川にはバナナたちが泳ぎ、畑には牛や豚が育っていた。車の代わりにダンゴムシ、建物は野菜で出来ていた。あらゆる寸法が狂っている。自然界の動植物が、自分の本来の持ち場を離れて暴走しているかのようだ。ハンバーガー屋に行ったら、ハンバーガーが猫の植木を売っていた。このあたりになるともうぐちゃぐちゃだ。少年が裸になるのは、自然界の一部になったということか。最後は優しい家族が包んでくれる。
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Posted on 2016/03/16 Wed. 21:48 [edit]

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『サムとデイブ、あなをほる』感想  

(文:マック・バーネット、絵:ジョン・クラッセン、訳:なかがわちひろ、あすなろ書房、2015年)二人が宝を目指して必死に穴を掘る。掘れば掘るほど不気味な世界に入り込む。読者はすぐに気づく。もう少し横を掘れば巨大なダイアモンドがあるのに… 迷路を進む心境だ。犬は、宝の在り処に気づいている。さて、最後は、深い奥底のさらに底が抜けてしまい、最初と類似した風景に戻ってしまう。類似してはいるが別の世界である。彼らは掘るのを止めて飲食を始める。これはおそらく、彼らをこの別世界に閉じ込めておこうとする罠だ。ダイアモンドの罠だと思う。犬がそこから離れないところをみると、おそらくもう一回深く掘ればもとの世界に戻れる。
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Posted on 2016/03/17 Thu. 21:50 [edit]

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