『ちいさな くれよん』感想  

(作:篠塚かをり、絵:安井淡、金の星社、1979年)本書では、黄色のクレヨンが最後まで黄色のクレヨンであろうとする。ゴミ箱から抜け出して靴や玩具を黄色に塗る。まっすぐな気持ちで奉仕し、悲しみは見せずに死んでいく。そんな姿を見て「美しい死に方だ」と感激してよいのだろうか?この姿をモデルとして子どもに見せてよいか?それは怖いことではないか?黄色のクレヨンが赤色のクレヨンに憧れるとか、死にたくないと逃亡するとか、あるいは黄色でないものを黄色に塗ってしまうとか、そういうはみ出し方、目的からの逸脱があってこそ人間である。そっちの方に人間としての美しさを感じる。
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Posted on 2013/02/26 Tue. 00:10 [edit]

category:   4) 幸福とは

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『花さき山』感想  

(作:斎藤隆介、絵:滝平二郎、岩崎書店、1969年)10歳のあやが自分よりも妹のことを優先する。にもかかわらず周囲の大人たちは誰も気づかない。声をかけない。子どもの気持ちに寄り添うこともない。みんな生活のことでいっぱいだ。本書は基本的には「いい話」ではなく「悲しい話」だ。村人の日常生活から離れた存在であるやまんばは、子どもの心が分かる。だからあやを見ると、お前がいいことをするたびに、ここにきれいな花がさくのだと声をかける。すまないねという心境も含まれる。みんなのために頑張るという美しい姿と花や山河の美しい自然が連動している。悲しい話を美しい自然が包み込む。
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Posted on 2014/11/15 Sat. 23:05 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『竜のはなし』感想  

(作:宮沢賢治、絵:戸田こうしろう、戸田デザイン研究室、1983年)猛毒を持つ、恐ろしい竜がいた。ある時、竜は「これからは悪いことをしない」と誓う。圧倒的な力を持っているのにそれを使わないのは難しい。それは理性の力だ。竜が眠っている間に、猟師たちが竜の皮を剥いでしまう。竜はそれに気づきつつも眠ったふりをする。赤い肉がいたいたしい。さらに虫たちに身体を食べられ死んでしまう。世の中全体の利益を考えれば、自分は生きるべきではない、竜は自分の存在価値を自分で否定しているのだ。ここまで行けば、逆に竜が可哀そうだ。もっと良い方法はなかったのか。普通の人間は、こんな自己犠牲は出来ない。
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Posted on 2015/12/13 Sun. 21:06 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『ロボくんとことり』感想  

(作・絵:やなせたかし、フレーベル館、1999年)砂漠で迷子になった小鳥がロボくんと出会う。小鳥はロボくんの体内の石を除去しロボくんを助ける。ロボくんは動物たちのために砂漠に水を見つける仕事をしていた。小鳥とロボくんはお互い助け合い、支え合いながら生きる道を選ぶ。本書は理想である。幸せな人生を送るためには、自分自身のためではなく、困っている誰かのために努力するとよい。他の人がやらないことを、勇気を持って取り組むことである。義務ではない。意外性をもたらす先駆的かつ卓越的な試みであるからこそ価値があるのだ。ただし頭では理解していてもそれを実行するのは難しい。
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Posted on 2015/12/30 Wed. 22:23 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『ふしぎ ふしぎ』感想  

(作:片山令子、絵:長新太、国土社、1997年)少女が手にしたおいしい飲み物。それは太陽の光だ。きつねやうさぎに分け与えると増え続ける。うさぎは精神的な悩みをかかえ過食症気味だった。くまが全部を奪い去ると無くなってしまう。他者に分配しようとすれば増え続け、独占しようとすれば無くなる。それは何を意味しているか。おそらくは幸福感である。幸福感とは自己利益や自己満足の反対である。そのことを指して本書は「ふしぎ」だと言っている。本書は、黄色と緑で描かれる。太陽は橙色ではなく黄色だ。とてもやさしい雰囲気だ。なお最後の頁では丘に登り、くまも含めて皆で幸福を味わう。
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Posted on 2016/02/15 Mon. 21:24 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『どんなかんじかなあ』感想  

(作:中山千夏、絵:和田誠、自由国民社、2005年)視覚・聴覚の障害について。当事者の心境を想像してみる。全部分からなくても想像することが大切だ。目が塞がれれば耳に関心が集中し、耳が塞がれれば目に関心が集中する。いいこともある!絶望的にならなくてよい。父母が不在ということはどういう心境か。動けないというのはどういう心境か。本書は、全ての障害を肯定的に受け止めている。実際にはそんなにうまくいかないだろうが、本書のような世界観は大切だ。与えられた条件に不平を言うよりも、可能なことを探し、プラスの気持ちで前に進む方がいい。それを信じることが、生きることでもある。
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Posted on 2016/02/15 Mon. 21:25 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『どいてよ へびくん』感想  

(作・絵:五味太郎、偕成社、2003年)こぶたちゃんが不満を言う。どいてよへびくん。君がそこを離れてくれれば私は助かるのになあと思う。ただ、へびくんはたんにそこにいるだけなのかもしれない。本を読んだり、ソファーに座ったり、滑り台やプールだって、普通にしているだけに見える。それをこぶたちゃんは邪魔だという。だとすればこぶたちゃんの一方的な見方にも見える。あるいは逆に、へびくんは意図的に、こぶたちゃんの邪魔をしているのかもしれない。ひょっとしたら、仲良くしたくて近くをうろうろしているだろうか。遠くから二人を眺めれば、なかなかのいい関係に見えてくる。
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Posted on 2016/02/25 Thu. 21:42 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『ええことするのは、ええもんや』感想  

(作:くすのきしげのり、絵:福田岩緒、えほんの杜、2014年)少年は、ふとしたことから、おじさんの車イスをおしてあげることにした。困っている人を助けることは大切なことだ。周囲の反応が嬉しい。なんだか自分がカッコよくなったような、偉くなったような気分だ。しばらくすると本当にきつくなる。少しずつ迷いが出てくる。本書はリアルだ。大人からすれば子どもは保護支援される受身的存在だが、彼らは誰かの役に立ちたいと思う。そこには目立ちたい、カッコつけたいという素直な気持ちも含まれる。ボランティアとは、究極的な意味では自己満足であるし、またそうあるべきだと思う。迷う少年の姿は美しい。
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Posted on 2016/02/27 Sat. 23:04 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『おうさまのおひっこし』感想  

(作:牡丹靖佳、福音館書店、2012年)恥ずかしがり屋の王様。従者たちはあわてん坊。王様は大きな城に引っ越すことにした。大量の家具や楽器を荷車に積んで引越。王様は困った人を助けよと従者たちに指示を出す。従者たちは、ヤギのために家具の中の干し草を与え、ボロ家には調度品を与え、町中の彫刻には洋服を与えた。新居に到着した時にはベッドだけになる。従者たちに悪意は無い。野心もない。純粋で忠実だ。王様は従者たちの能力不足、判断ミスを責めることなく、広い心で受け止めていく。そもそも莫大な財産はそれほど大切ではない。財産よりも人間を大切にする素晴らしい王様だ。
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Posted on 2016/02/27 Sat. 23:05 [edit]

category:   4) 幸福とは

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『泥かぶら』感想  

(原作:眞山美保、文:くすのきしげのり、絵:伊藤秀男、瑞雲舎、2012年)表紙に描かれる汚れた少女は、いつもいじめられる。ある日、少女は旅の老人に初めて褒めてもらう。その上で美しくなるためのアドバイスをもらう。今の自分の顔を恥ずかしいと思わず、笑顔で接し、人に優しくせよという。自分だけ損をしているような気分だ。しかし頑張ってやってみよう。すると少女の周囲の関係がどんどん変わっていく。まるで別人のように、とても美しい少女に変わる。確かにいじめは加害者が悪い。しかし嘆いているだけでは一生負け犬で終わる。悲しみの中から這い上がる少女の底力に心を打たれる。親の気持ちで読むと涙が溢れる。
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Posted on 2016/02/28 Sun. 21:51 [edit]

category:   4) 幸福とは

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