『悪い本』感想  

(作:宮部みゆき、絵:吉田尚令、編:東雅夫、岩崎書店、2011年)本書は読者に語りかける。これは悪い本だと。読者はいつか悪いことをしたくなる。誰かを嫌いになり、誰かがいなくなればいいと願うであろう… 一般的に、子どもは正しいことを求められる。他者を好きになり、優しくするよう求められる。しかし人は、それほどまっすぐではない。結果的に嫌悪感を持ち、誰かを傷付けることもある。本書は、読者が必ず悪い方へ導かれるよと予言する。とても不気味だ、語りかけるのが「ぬいぐるみ」であるのは、おそらく彼らが欲望に満ちた本当の人間の姿を知っているからであろう。最も恐ろしいのは人間の本性なのだ。
13(03)01.jpg
スポンサーサイト



Posted on 2015/12/13 Sun. 21:00 [edit]

category:   3) 正しさと悪さ

tb: 0   cm: 0

『あくま』感想  

(作:谷川俊太郎、絵:和田誠、教育画劇、2007年)物語の中で少年は魔女と出会う。魔女は友達になろうと囁くが、それは罠だ。少年は魔女を殺そうとする。この時点で少年は、正義の味方だ。世界を良い方向へ進める存在だ。魔女は死んでいなかった。そこへ悪魔がやってきて、悪魔が魔女を殺す。悪魔は少年に対し、やはり友達になろうと囁く。悪魔とは誰か?「悪い魔女を殺したのだから正義」なのか?少年は分からなくなり、いったん物語の外へ飛び出す。もはや正義ではないかもしれないが、魅力的なのではないかと少年は自問自答する。本書は、物語から正義が無くなってもいいのかと問うているようだ。
13(03)02.jpg

Posted on 2015/12/13 Sun. 21:01 [edit]

category:   3) 正しさと悪さ

tb: 0   cm: 0

『ねぎぼうずのあさたろう その1』感想  

(作・絵:飯野和好、福音館書店、1999年)浪花節で読み上げる。弱い者をいじめる悪いやつがいる。正義の味方あさたろうは、必殺技のねぎじる攻撃で悪者を退治する。旅に出たあさたろうは、茶屋で謎の浪人と出会う。…登場人物はみな野菜だが、中身は正統派の時代劇。昔はこんなドラマがたくさんあった。正義の味方が悪者を退治する姿、技を駆使して敵をやっつける姿の、なんとカッコいいことか。峠の一戦ではアングルやポーズなどバシッと決まっている。最近のドラマは美男美女が無数に登場するが、こんなカッコ良さは皆無。平凡な人間が物語の中でカッコよく見えてくる時に深い感動を得る。
13(03)03.jpg

Posted on 2015/12/13 Sun. 21:02 [edit]

category:   3) 正しさと悪さ

tb: 0   cm: 0

『くものすおやぶんとりものちょう』感想  

(作・絵:秋山あゆ子、福音館書店、2005年)ヒーローの条件とは、正義感を持ち悪い奴らを退治すること。技術や能力に長け、ピンチをチャンスに変えるような知性を持ち合わせていること。美男でなくてよい。蜘蛛の親分は、まさにヒーローだ。かっこいい! 子分に対しては良き教育者でもある。盗人三人衆「隠れ羽」が、部屋のあちこちに潜んでいるから、探してみよう。盗人が犯行予告の手紙を送っているのは、なぜか。美学を追求しているからだ。最後、悪者を退治した後で、親分は彼らに善行をさせ、許していく。そこには奥深い優しさを感じる。江戸の生活を描くところもよい。三味線が似合う。
13(03)04.jpg

Posted on 2016/02/26 Fri. 21:36 [edit]

category:   3) 正しさと悪さ

tb: 0   cm: 0

『ふくろのなかにはなにがある?』感想  

(絵:ポール・ガルドン、訳:こだまともこ、再話:ポール・ガルドン、ほるぷ出版、2009年)狐は自分で獲物をつかまえるのは苦手。その分、悪知恵が働く。袋の中に蜂を入れてそれをおばさんに預かってもらう。袋を覗くなと言えば誰だって覗きたくなる。おばさんは袋を覗いてしまい、蜂は逃げてしまう。狐はもっと大きなものを代わりに受け取る。いわば約束を破った責任を負わせている。全てが計算済みである。狐はこの作業を繰り返して、次第に大きな獲物を手に入れようとする。袋の中が分からないのは「秘密」である。秘密は人の心を動かす。善意に満ちている人は騙されやすい。陰謀、詐欺、悪徳商法のようでもある。最後はハッピーエンド。
13(03)05.jpg

Posted on 2016/03/17 Thu. 21:52 [edit]

category:   3) 正しさと悪さ

tb: 0   cm: 0

『三びきのコブタのほんとうの話』感想  

(作:ジョン・シェスカ、絵:レイン・スミス、訳:いくしまさちこ、岩波書店、1991年)昔話のパロディ。オオカミにはオオカミの言い分がある。砂糖を少しだけ分けてもらおうとした、くしゃみが出てしまった、家が崩れて豚が死んでしまった等である。本書の世界では、新聞記者も、刑務官も豚である。オオカミにとっては食べるべきものを食べたのであるからそれほど悪いという意識はない。人間も同じだ。しかし豚にとってすれば恐ろしい存在であり、伝聞や報道ではオオカミを悪人として描いてしまう。報道は、立場によって変わるということを示している。オオカミ新聞というものを作るとすればオオカミは自分の主張を正当化するであろう。
13(03)06.jpg

Posted on 2016/03/18 Fri. 21:53 [edit]

category:   3) 正しさと悪さ

tb: 0   cm: 0

『エミールくん がんばる』感想  

(作・絵:トミー・ウンゲラー、訳:今江祥智、文化出版局、1975年)たこのエミールは、船長さんを助けたことがきっかけで、一緒に暮らすことにした。8本の足で多くの楽器を演奏する。海岸で見張りの仕事をする。溺れた子を助ける。船長の乗った警察船に同行して悪者を退治する。エミールは海に戻っていく。最後、海の中で船長とゲームをする(その姿が表紙)。エミールは多彩な能力の持ち主、その能力を発揮して人々に貢献する。高い身体的能力、芸術性やユーモアもあり、知恵もある。エミールは無理をしたり、焦ったりすることがない。ゆったりとした見かけと高い技能のギャップも魅力的。皆に好かれる存在である。
13(03)07.jpg

Posted on 2017/02/15 Wed. 22:20 [edit]

category:   3) 正しさと悪さ

tb: 0   cm: 0

プロフィール

カテゴリ

最新記事

最新コメント

お客様

検索フォーム

リンク


▲Page top