『いやだいやだ』感想  

(作・絵:せな けいこ、福音館書店、1969年)子どもが駄々をこねる。「いやだ」という気持ちを全身で表現する。すると母が言う。私も「いやだいやだ」。ケーキやクツや周囲の全てが「いやだいやだ」と言い出す。さてどうする?自分の不平不満を自分の言葉で吐き出すのは簡単であるが、それが相手にどのようなインパクトを与えているのかは見えにくい。立場を逆にしてみよう。全く同じ言葉を母が自分に向かって吐いてしまえばどうだろう。そのような想像は必要だ。自分の行為をもし周囲の全員が行うとすればその全体は望ましいものであるか。本書は道徳の根本を深く追究している。まるでカント。
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Posted on 2015/12/12 Sat. 21:41 [edit]

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『ひとりじめ』感想  

(作:本間正樹、絵:いもとようこ、佼成出版社、2004年)きつねとうさぎがブランコに乗っていると、こぐまがやってきて強引に替わってもらう。たぬきたちが砂でお城を作っていると、こぐまが入ってきて強引にトンネルを作ろうとする。こぐまは楽しくて満足であるが、周囲は不満である。こぐまは気付かない。後半でこぐまは、りすたちの姿を見て衝撃を受ける。りすはみんな仲良し。自分は、誰とも仲良くやれていなかった。こんなふうに気づくことが出来るとよい。現実には、迷惑をかけても平気な人が多い。本当に分からない人もいる。独占よりも共有の方が幸せである。周囲を冷静に見るとそこに幸福がある。
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Posted on 2015/12/12 Sat. 21:43 [edit]

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『おおきな木』感想  

(作・絵:シェル・シルヴァスタイン、訳:村上春樹、あすなろ書房、2010年)りんごの木は男の子と仲良し。男は成長し、金が欲しくなりりんごをもらう。家が欲しくなり枝をもらう。年老いた彼は船が欲しくなり、幹をもらう。よぼよぼになったその男は切り株に腰かける。木は「うれしかった」と言っているが、真意か?傲慢で自己利益ばかりを追求する人間と、それでもなおその人間を優しく包み込もうとする大自然とが対比される。両者のコミュニケーションを不完全ととるか、この程度でも十分だととるかは読者によって分かれる。行き過ぎた自己犠牲は嫌いだ。しかし自己を犠牲にしてまで大切にしたいものが存在するのは幸福だ。
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Posted on 2015/12/12 Sat. 21:44 [edit]

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『すてきな三にんぐみ』感想  

(作・絵:トミー・アンゲラー、訳:今江祥智、偕成社、1969年)脅しの道具を装備した恐ろしい泥棒三人組。宝を盗み、山の頂上の隠れ家に運び込む。ある日みなしごのティファニーと出会う。その後三人組は、それまで集めた財で城を買い、みなしごの子どもを集め、育てることにした。三人組が、前半の悪行から後半の善行へと転換するのはなぜであろうか。私は、その転換がそれほど根本的なものではないと思う。3人組はティファニーを見て、慈悲の心に目覚めて過去を反省したのではない。子どもって面白いと感じ、純粋に楽しみたいと思ったのだ。楽しいから泥棒、楽しいから孤児救済。彼らの行動原理は変わらない。
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Posted on 2016/02/14 Sun. 22:29 [edit]

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『かげ』感想  

(作:新美南吉、絵:鈴木靖将、新樹社、2013年)満月の夜、カラスが自分の影を見る。カラスはそれを自分の影と知らずに、対話をする。どちらが早く進めるか競争を始める。血眼だ。カラスは身体が壊れるまで飛び続ける。本書は、僅かでも人よりも先へ行きたいと熱望する者を表現している。私たちは彼を笑えるだろうか。他者よりも優位に立ちたい、他者よりも上にいたいという心理は、根底には過去の自分を乗り越えようという心境であろう。プライドを守ることに固執している。彼は結局のところ哀れな終末を迎える。人生はレースだけではない。冷静な自分に戻ることも大切だ。それを示唆する作品だ。
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Posted on 2016/03/27 Sun. 20:45 [edit]

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『やぎとぎんのすず』感想  

(作:八百板洋子、絵:小沢良吉、鈴木出版、2006年)やぎが森に入ろうとするといばらが制止する。それでも先へ進んだため大切な鈴がひっかかる。いばらはとってくれない。やぎはのこぎりに依頼していばらを切ってもらおうとする。ところがのこぎりに断られたので、次は火に依頼してのこぎりを燃やしてもらおうとする。ところが火に断られたので、川の水に火を消してもらおうとする。やぎは、強烈な被害者意識(怒り)を持ち、自分の力では何もしないくせに、誰かに頼って復讐してもらおうとする。壮大な被害者物語、ルサンチマン。自分の心の傷を誰かに癒してもらいたい。結局こんな人が戦争を始める。
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Posted on 2016/03/28 Mon. 23:17 [edit]

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『あかいセミ』感想  

(作・絵:福田岩緒、文研出版、2006年)暑い夏のある日。少年は小さな店でノートを買う。つい、赤い消しゴムを盗んでしまう。罪悪感が少年を襲う。なんだか怖くなる。おばさんが優しそうであるからなお辛い。その後は何をやっても楽しくないし、セミを捕まえて遊んでもイライラしてしまう。夢の中に出てきたときは、赤いセミだった。彼がここまで怯えるのは、日常生活の道徳や秩序がしっかりしているからである。少年は、自分のやったことがそこから大きく逸脱していると感じるのである。私たちの生活は家族や友人や地域の人々の信頼関係によって成り立つ。壊して初めて気づくこともある。
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Posted on 2016/04/04 Mon. 21:57 [edit]

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『いたずら きかんしゃ ちゅうちゅう』感想  

(作・絵:バージニア・リー・バートン、訳:村岡花子、福音館書店、1961年)蒸気機関車ちゅうちゅうはいつもピカピカ。機関士たちがよく整備している。しかしちゅうちゅうは不満だ。客や荷物を乗せずに走ればもっと速く、カッコよく走れるのになあと思う。そこで荷物を乗せずに暴走する。車や動物たちが驚き、皆が怒ってしまう。機関士たちが不在ではうまく駅に止めることすら出来ない。道も分からなくなり、山奥で力尽きてしまう。壊したり、目立ったりすることがカッコいいと勘違いしてしまう。若者にはありがちだ。本書は機関士たちが助けてくれた。そこに感謝しよう。まるで無声映画。画面全体から力強い躍動感を感じる。
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Posted on 2016/04/05 Tue. 22:24 [edit]

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『ほんとうのことをいってもいいの?』感想  

(作:パトリシア・C・マキサック、絵:ジゼル・ポター、訳:福本由紀子、BL出版、2002年)少女リビーは、母親から嘘をついてはいけないと教えられ、今日から本当のことを言うようにした。リビーは、次から次へと、人の失敗や欠点を指摘してしまう。リビーにとっては本当のことだ。周囲の皆は腹を立ててしまい、気が付けば孤独。リビーは、本書の後半で思いやりの大切さに気づく。例えそれが真実であっても、その一つの見方を大声で報道することは、乱暴である。自分の意識の中にあることをそのまま表現すれば周囲とトラブルになるのは必至である。言葉は人と人をつなぐものである。言葉の種類や表現を豊かにしていけば、きっとうまくいく。
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Posted on 2016/04/18 Mon. 21:09 [edit]

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『ありこのおつかい』感想  

(作:石井桃子、絵:中川宗弥、福音館書店、1968年)赤い帽子の「ありこ」が母に頼まれてお遣いにでる。カマキリがありこを飲み込んでしまう。お腹の中から、ありこの「ばか」という悪口が響く。それを聞いたムクドリが怒ってカマキリを食べてしまう。お腹の中から、ありことカマキリの悪口が響く。それを聞いた山猫が怒ってムクドリを食べてしまう。こうして悪口と悲劇は次々と膨らんでいく。相手に腹を立て、相手を攻撃するつもりで食べてしまう。しかしそれで悪口は消えることなく、身体のどこかに残る。悪口は伝染して広がる。最後は優しい熊の母親により、吐き出して解決。力強い母の愛を感じる。
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Posted on 2016/04/18 Mon. 21:10 [edit]

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