『ことば』感想  

(作・絵:五味太郎、架空社、1993年)人間の発する言葉を文字ではなく、吹き出しの色と形で表現する。子どもが三輪車に乗り、気持ちよく歌っている、そこへ他の子が来てストップをかける。言葉には気持ちを表現するだけでなく、相手を止めたり動かしたりする力もある。人は傷付けたり、泣いたり、怒ったりする。それが言葉として現れる。子どもたちが自慢話をする。話は膨らむ。そこに1人の子がラジコンを持参。みなが言葉を使わなくなってしまう瞬間だ。なるほど。言葉は目の前に存在しないものを表現することでこそ豊かに変化していく。実物はインパクトがあるが、言葉を貧相にする。
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Posted on 2012/01/22 Sun. 21:58 [edit]

category:   5) 人間とは何か

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ねえ、どれがいい?』感想  

(作・絵:ジョン・バーニンガム、訳:松川真弓、評論社、2010年)多くの選択肢が向けられる。家の周りが変わるとすれば、大水、大雪、ジャングル、どれがいい?象にお風呂の水を飲まれる、豚にズボンを履かれる、等、どれがいい? 奇想天外で笑える。本書はバカバカしい選択肢に優しい絵が付けられる。この雰囲気がいい。私達は選択肢を前にすると一つの決定を下す。おそらく決定の後に、様々な理由をこしらえていく。それゆえ中身のある人間になるためには、幾多の重大な場面で決定の機会を持つとよい。最後の問い「どこでなら迷子になってもいい?海の上、砂漠、森の中、ひとごみ。」ひとごみの迷子は最も怖い。
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Posted on 2012/05/01 Tue. 21:11 [edit]

category:   5) 人間とは何か

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『魔法のことば』感想  

(作:金関寿夫、絵:柚木沙弥郎、福音館書店、2000年)太古の昔、人と動物はお互いに変幻自在であった。人は動物から言葉を感じ取り、人もまた動物に語りかけていた。言葉は不思議な力を持っていた。言葉が生命を生み出したり、望んでいることを口に出せばその通りになったりした。言葉を発することは即ち世界を変えることだった。本書では、当時の世界観がよく描かれている。現在ではこうした言葉の魔法は失われてしまった。現代において言葉はたんなる主観であり、物理的な秩序と離れて存在する。それゆえ人間らしささえ失われたというべきであろう。太古の昔、人々は今よりも遥かに力強く生きていた。
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Posted on 2016/01/28 Thu. 22:31 [edit]

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『ヒトニツイテ』感想  

(作:五味太郎、架空社、1990年)ヒトが宇宙人を見つけ、工夫して捕獲し、育てて観察して研究する。本書で宇宙人とは、家畜やあるいは他者を象徴している。私たちは他者の中に自分を見出す。他者の苦しみを自分の苦しみと感じる。人は宇宙人の亡骸を食べるが、これは食糧という意味ではなく、その他者と一体化するということだ。彼が死ねば悲しい。一方、しかしながら私たちは忘れることもできる。それゆえ人類は同じ間違いを何度も犯すし、それゆえ人類は発展する。一見すると「ヒト」であるが、そこで行うあらゆる行為が、ヒトというよりはむしろ人間的であるということに気づく。
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Posted on 2016/02/17 Wed. 21:49 [edit]

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『すきまのじかん』感想  

(作・絵:アンネ・エルボー、訳:木本栄、ひくまの出版、2002年)昼と夜の隙間。どちらともつかない夕暮れの時間。なぜか少し悲しくなる時間だ。隙間の時間という人物がいる。彼は頭の中は昼間だが、心は闇。何も書かれていない本を手にする。太陽の王様と闇の女王はいつもケンカ。隙間の時間には居場所がない。森の向こうにすむ美しい夜明けの姫と会う。そして恋に落ちる。本書は人間存在を描くようだ。中間とは、迷いや葛藤の場所である。白紙の本とは、様々な心の変化が起こり得るということを示している。不完全で曖昧だからこそ豊かな心を持ち、新しいものを生み出す。私たちはそれゆえ美しい存在となりうる。
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Posted on 2016/03/29 Tue. 21:02 [edit]

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『あめあめ ふれふれ ねずみくん』感想  

(作:なかえよしを、絵:上野紀子、ポプラ社、2013年)ねずみくんは傘をさしている。亀、あひる、あしか、皆傘をささない。雨でも平気だといい、ねずみくんを笑う。濡れたくらいで困ることはない、雨の中でも平気だ、とでもいいたげだ。その後、ねずみくんの恋人がくる。二人で相合傘。ちょっと幸せそう。他の動物たちは羨ましそうに眺める。雨だけではない、寒さや暗さ、厳しい自然の中にあって、弱い存在は肩を寄せ合って生きていく。それゆえ弱い存在が別の「強さ」を得る。他の動物たちは自然の中でも強く生きていける。それゆえ支え合うという力を持ち合わせていない。弱い存在、それは人間である。
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Posted on 2016/04/20 Wed. 21:16 [edit]

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『わたしはとべる』感想  

(作:ルース・クラウス、絵:マリー・ブレア、訳:谷川俊太郎、講談社、2005年)少女は何にでも変身できる。ブランコに乗れば鳥になれる。歌を歌えば牛になれる。くねくね動けば毛虫、カニのようにつかむことだってできる。ミツバチや魚やもぐらにだってなれる。周囲の動物や昆虫の動きを見ていると特徴的で魅力的である。真似をしてみよう。子どもは自分という存在意識が曖昧であるから容易に変身できる。外側は変貌できるが、その中心の芯の部分には確かな意識がある。何にでもなれる。それが私。誰とでも遊ぶ。それが私。融合しつつも芯はある。これこそ人類の最高の姿だと思う。私たちは幼児期から退行しているのではないか。
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Posted on 2016/05/07 Sat. 23:23 [edit]

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『だくちる だくちる』感想  

(作:阪田寛夫、絵:長新太、福音館書店、1993年)太古の昔にイグアナドンがいた。噴火の音は聞こえるが声は聞こえない。とても寂しかった。そこに恐竜プテロダクチルスが「だくちるだくちる」と音をたててやってきた。噴火の音以外では初めて聞いた声だ。二人は友達になる。イグアナドンは嬉しくて歌を歌う。地球で初めての歌だ。本書は、科学ではない。人間がうまれる前の状態を想像してみよう。すると不完全な人間を想像するであろう。不完全ではあるが、一部に人間的なものを含んでいるかもしれない。言葉、喜び、歌。それらは人間がうまれる前に登場した「人間的なもの」である。そんな想像だ。
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Posted on 2016/05/08 Sun. 23:08 [edit]

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『あおくんときいろちゃん』感想  

(作・絵:レオ・レオニ、訳:藤田圭雄、至光社、1967年)青、黄、赤などの色が子どものように遊ぶ。青君は、黄色君を探す。重なって緑色になる。緑色のまま公園や山で遊ぶ。二つの色が一つの色になるというのは、不思議な現象だと思う。色は半透明だ。ただし本書は、たんなる色彩の話で終わらない。自分と他者が一緒に遊ぶということは、二人で一つの世界を構築するという意味だ。夢中で遊ぶと別人のようになることもある。家に戻ろうとするが、青色の父母は、分からない。黄色の父母も分からない。もとの自分モードに戻すのを忘れてしまったのだ。悲しくて涙を流して、青と黄色、すなわち素の自分に戻る。
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Posted on 2016/05/08 Sun. 23:09 [edit]

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『しっぱいしちゃった』感想  

(作:ノーマ・サイモン、絵:ドーラ・リーダー、訳:中村妙子、朔北社、1997年)弟が牛乳をこぼす。姉はパズルが得意。弟はとんぼがえりが上手い。兄は写真を撮るのがうまいが、時に失敗する。一生懸命に頑張っているのに失敗することはある。母は仕事はうまいがタバコはやめられない。全てがうまくいくような人間はいない。誰にだって出来ることがあるし、失敗することもある。本書は失敗してもよいということを示していない。失敗してもなお成功を目指すことには意味がある。本書が示しているのは、人間というのは中途半端な存在だということである。私は、人間を能力だけで評価してしまう考え方には否定的。冒頭の文章は蛇足。
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Posted on 2016/05/09 Mon. 21:45 [edit]

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