『チリンのすず』感想  

(作・絵:やなせ たかし、フレーベル館、1978年)狼に母親を殺された子羊が、復讐のために狼の弟子になる。か弱い羊は狼に育てられ、いつしか強くなる。目つきがすごい。その一方、子羊は狼の強さと優しさに気付き、迷いが生じる。母への気持ちを貫くか、狼への感謝の念を大切にするか。復讐してもしなくても、後味は悪い。最初は、嘘をついて狼に従っていたが、いつしかそこに気持ちが入ってしまう。そういう体験は貴重だ。最初の気持ちを貫くだけが人生ではない。葛藤や迷いを生きると人は奥深さや思いやりを得る。スッキリしないからこそ豊かなのだ。人生の不条理は、子どもに伝えておいてよい。
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Posted on 2013/11/01 Fri. 06:09 [edit]

category:   3) 人生の不条理

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『スーホの白い馬』感想  

(作:大塚勇三、絵:赤羽末吉、福音館書店、1967年)歌の上手い少年スーホが白い仔馬と出会う。大切に育てるスーホ。白馬を殿様に奪われ、スーホは助けることが出来なかった。決死の思いで脱出する白馬。スーホのもとに到達した時には命は尽きていた。悲しみにくれるスーホはついに白馬の亡骸で楽器「馬頭琴」を作る。…白馬が死んだ理由も、死んだことさえも、不条理である。人間の判断や能力を超えている。出会いもまた不思議なことだった。それゆえ人の心は動き、人は音楽を奏でる。遠い昔の話であるから、風景も輪郭もぼやける。しかし地平線は力強く存在している。馬頭琴の音色が大地に響き渡る。
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Posted on 2015/12/16 Wed. 22:27 [edit]

category:   3) 人生の不条理

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『やさしいライオン』感想  

(作・絵:やなせたかし、フレーベル館、1982年)雌犬のムクムクに育ててもらったライオンのブルブル。成長したブルブルは弱った母を探し求める。母を助け出そうとする。しかし人間は凶暴なライオンだとして射殺しようとする。一見すると凶暴に見えるのだけれども本当は優しいのである。どんなに力強く見えても、か弱い子どもの頃があるはずであり、育てた親がいるはずである。弱さを根底に持ってこそ、初めて真の強さであるし、弱さを忘れた強さはただの乱暴である。なお最後は曖昧にしている。もし死んだとすれば悲劇であり、飛んだとすればハッピーエンドだ。私は悲劇だと思う。夕焼けが美しい。
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Posted on 2016/01/30 Sat. 22:13 [edit]

category:   3) 人生の不条理

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『ごきげんならいおん』感想  

(作:ルイーズ・ファティオ、絵:ロジャー・デュボアザン、訳:村岡花子、福音館書店、1964年)動物園にいるライオンは、街の人に愛され機嫌がよい。ある日、動物園を出てしまうと街の人々は一斉に逃げ出してしまう。ライオンはなぜだか分からない。ライオンと人々の関係は柵の存在を前提としていたからだ。対等ではない。消防隊が近寄っていき、ライオンを捕獲しようとする。映画のワンシーンのようだ。読者は純粋な気持ちのライオンに同情するであろう。高い地点から描かれたその風景は、人間の残酷さを表現しているかのようだ。最後はハッピーエンドか? ライオンは動物園から出なくなるということを考えれば、なんだか悲しいラストである。
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Posted on 2016/03/20 Sun. 15:13 [edit]

category:   3) 人生の不条理

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『不幸な子供』感想  

(作・絵:エドワード・ゴーリー、訳:柴田元幸、河出書房新社、2001年)両親を失った少女が、寄宿学校でもいじめられ、そこを抜け出すとさらに悲惨な境遇に置かれるという話。タイトルそのまま。最も不幸であるのは、親が子どもを殺してしまうという点にある。悲しい不幸を見せられると、私たちは何が原因だったのかと思案する。植民地政策、貧富の差、福祉施設の不備、道路状況の悪さなども原因の一つであろう。ひょっとしたら寄宿学校で我慢していれば幸福になれたのかもしれない。本書においては「現実は物語よりも確実に幸福」ということが分かる。「物語は幸福であるのに現実は不幸」という方が残酷に感じられる。
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Posted on 2016/05/10 Tue. 22:07 [edit]

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『ジオジオのかんむり』感想  

(作:岸田衿子、絵:中谷千代子、福音館書店、1978年)ジオジオは百獣の王ライオン。皆が自分を避けていく。なんだかつまらない。次第に年老いてきた。ある日、灰色の小鳥が話しかける。小鳥は卵を失ってしまい、自分もまたつまらないという。最も強い存在と最も弱い存在の出会い。ジオジオは、自分の冠の中で卵を育てることを提案する。ジオジオは深い思慮があったわけではないが、小鳥が成長していくにつれて多くのことを感じたはず。弱い相手を脅したり潰したりしても、楽しくない。小さな命から豊かな世界が湧き出てきた時、素晴らしさについて知ることが出来た。最後に目が見えなくなるのは、悲劇。
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Posted on 2016/12/14 Wed. 21:28 [edit]

category:   3) 人生の不条理

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