『あさえとちいさいいもうと』感想  

(作:筒井頼子、絵:林明子、福音館書店、1982年)殆どのカットが子ども目線で描かれる。手のぬくもりさえ伝わる。妹がふらふらと歩いていくのを懸命に探し求める姉。姉は大慌てであちこちを探す。姉のどきどき感がこちらにも伝わる。責任を感じているのだ。その後、公園で遊んでいるところを見つけた。妹は、おそらくその公園を何度も訪れていて、安心して遊んでいる。木漏れ日が美しい。最後の頁には母親も描かれる。その表情は描かれていないが、心配そうな表情は目に浮かぶ。現代では難しいかもしれないが、自宅と公園の間のエリアは、子どもたちの空間、失敗や冒険や葛藤の空間にしておきたい。
01(05)01.jpg
スポンサーサイト



Posted on 2015/12/22 Tue. 21:41 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『アントニーなんかやっつけちゃう』感想  

(作:ジュディス・ヴィオースト、絵:アーノルド・ローベル、訳:渡辺茂男、文化出版局、1995年)兄アントニーは自分勝手で、弟の面倒を見てくれない。兄には敵わない。弟は「6才になったらアントニーをやっつけよう」と密かに願う。自分が6才になれば、体力でも知力でも兄を追い抜くだろう。逆立ちが出来たり、鉛筆を削れたり、友達が増えたり、歯が生え変わったりする。妄想の中では兄は劣っていてみじめ。それを思い、弟は大笑いする。そういう気持ちに浸ってみたいというのが弟の素直な心境だ。日々の劣等感を持ちながら、リベンジの機会をうかがう。ある種の戦いだ。結果的に弟は強くなる。兄弟愛を感じるのは、それよりもずっと後である。
01(05)02.jpg

Posted on 2015/12/22 Tue. 21:42 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『あたしもびょうきになりたいな』感想  

(作・絵:ブランデンベルク夫妻、訳:福本友美子、偕成社、1983年)エドワード(おそらく弟)が病気になる。みなが心配し、優しく接してくれる。その間エリザベス(おそらく姉)は自分で自分のことをしなければならない。弟がうらやましくなる。自分だって病気になりたいと願う。その後、願いが叶って病気になった。弟は病気から回復し、自分で自分のことをする。それを見て姉は「ずるいなあ」と思ってしまう。エリザベスは、常に他者が喜びを享受し、自分は不幸であるという解釈に立つ。いわばマイナス志向。弟エドワードはケロっとして平気だ。エリザベスは高い向上心があるとも言える。上の子の運命かもしれない。
01(05)03.jpg

Posted on 2016/01/04 Mon. 13:59 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『おいていかないで』感想  

(作:筒井頼子、絵:林明子、福音館書店、1988年)男の子と女の子の兄弟。兄が外に虫とりに行こうとするが、あやこは自分もついていくという。兄は一人で行きたい。妹がいるとトイレに行く等いろいろと面倒だ。やっぱり本を読むことにした、と妹を欺いて(?)妹が寝た隙に行こうとする。妹にとって兄とは遠くの目標であり、新世界である。妹は兄についていくことで一つ大きくなれる。兄にとって妹とは少し前の自分。嫌ではないが、妹の世話をすると高い地点へ進めなくなる。今回は諦めて世話をするモードで外出することにした。絵の質感と時間の間隔がリアル。写真以上に写実的だ。眼差しが優しい。
01(05)04.jpg

Posted on 2016/02/29 Mon. 22:03 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『ティッチ』感想  

(作・絵:パット・ハッチンス、訳:石井桃子、福音館書店、1975年)ティッチは身長が低い男の子。姉と兄がいる。二人は大きな自転車だがティッチは三輪車。二人は大きな凧で遊ぶが、ティッチは小さな風車だ。ここにはどんな会話が交わされているだろうか。のこぎり、かなづち、釘。すなわち三人で何かを作っている。上の子たちは嘲笑していない。むしろ弟に役割を与え、弟の面倒を見てくれているように見える。下の子は、高い向上心を持ち、いつか兄らを追い抜いてやろうと思うであろう。後半では、ティッチの持つ小さな種が大きな植物に成長する。ティッチはここから、成長や変化の可能性を読み取ったにちがいない。
01(05)05.jpg

Posted on 2016/03/10 Thu. 21:53 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『わがままいもうと』感想  

(作:ねじめ正一、絵:村上康成、教育画劇、2005年)風邪で寝込んでいる妹が、アイスクリームが食べたいという。兄は妹のために店に行き、バニラアイスを買う。家に戻ると妹はイチゴがいいという。兄は再び店に行き、店員さんにまたきたのと言われながらもイチゴモナカを買う。病気の際には意識が朦朧としており、何が食べたいか自分でもよく分からない。兄の心境も分からない。兄は、工夫と努力で妹を支えようとする。彼は、真面目であり、一生懸命に生きている。トラブルやミスを乗り越え、時にはペロリとアイスを食べてしまいながら、明るく生きている。多くの頁をどんどんめくる、動画のような本。
01(05)06.jpg

Posted on 2016/03/21 Mon. 09:05 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『ザザのちいさいおとうと』感想  

(作・絵:ルーシー・カズンズ、訳:五味太郎、偕成社、1996年)少年ザザに弟が出来た。中心は弟になる。家族は皆忙しくなり、なかなか相手にしてくれない。ザザは、頭では分かっているが、いい気分ではない。親の気持ちも分かる。1人目と2人目、同じように育てたい。ザザは、母親の「あなたがだっこすれば」の言葉に示唆され、弟の面倒を懸命に見る。現実に対する不満と、現実をなんとかして受け入れようとする意志、赤ちゃんを丁寧に支えようとする意志と、それを母親に見てもらいたいという意志。気持ちは複雑。自分の置かれた状況そのものを変えることはできない。ならば自分が変わろうという姿勢は大切だ。
01(05)07.jpg

Posted on 2016/03/21 Mon. 09:05 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『いもうとのにゅういん』感想  

(作:筒井頼子、絵:林明子、福音館書店、1987年)妹のあやが病気で入院することになった。姉のあさえはなんだか怖くなる。母と妹は病院、家はあさえと父親だけになる。あさえはとても心配だ。翌日、病院へ行く。あさえは、大切にしていた人形をあやちゃんにプレゼントすることにした。母の声がやさしい。心にぽっかりあいた穴をどのようにして埋めるか。不安や心配を乗り越えながら成長していく。人形とは、コミュニケーションの隙間を埋めるための存在であり、優しい感情をやりとりする際の入れ物のようである。本書の絵は印象的。光の加減がとてもよい。匂いや温度まで伝わってくるから不思議だ。
01(05)08.jpg

Posted on 2016/03/22 Tue. 21:43 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

『すき ときどき きらい』感想  

(作:東君平、絵:和歌山静子、童心社、1987年)僕には2歳の弟がいる。弟は母親に甘える。父親は弟に甘い。弟が玩具をほしがるが、僕だって譲りたくはない。弟はよく泣く。父母は、食事のマナー等、僕には厳しいが弟には甘い。親はどうしても下の子に合わせて生活をする。上の子にとってはこの状況をどう受け止めてよいか分からない。親が子どもに合わせて演じているということに気づいたからだ。しかもその演じる役を上の子にも求めてくるから困惑する。甘ったるい言葉と、厳しい言葉が交差する。そんなに急に切り替えられないというのが本音だ。本書は、兄の目線で兄の心境がよく描かれている。
01(05)09.jpg

Posted on 2016/04/10 Sun. 21:05 [edit]

category:   5) 兄弟姉妹の葛藤

tb: 0   cm: 0

プロフィール

カテゴリ

最新記事

最新コメント

お客様

検索フォーム

リンク


▲Page top