『ちへいせんのみえるところ』感想  

(作・絵:長新太、ビリケン出版、1998年)どんよりとした雲、麦畑のような、海のような地面。ここから何が飛び出すか。男の子の顔。次はどうなるか?男の子が歩く?頁をめくると「でました」残念。象だ。次はどうなるか?ライオンか?頁をめくると火山の噴火。ナンセンスというのはランダムではなく、意味に対する挑戦である。作者は私達の予想を転倒させて笑っている。山だと思っていたらエイ、海だと思ったら飛行船、と続く。質感や匂いや音は削除され、形象だけが、にゅうっと浮かび上がる。男の子は地平線に何もないのが不満であり、そのエネルギーが爆発して、それらを生み出している。
12(02)01.jpg
-- 続きを読む --
スポンサーサイト



Posted on 2011/11/25 Fri. 22:01 [edit]

category:   2) 意味不明の世界

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

『よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし』感想  

(作:及川賢治&竹内繭子、岩崎書店、2007年)巨大な看板に書かれた文字はおそらく周囲の大人たちの言葉であろう。ぎゅうにゅうをこぼして深く落ち込んだり、大人に叱られて深く反省したり、あるいは逆ギレしたりするような確固とした主体性は、よしおくんにはない。あ~れ~と流される、そのふんわり感が絵本全体に優しく漂う。絵本で描かれる牛乳はとっても牛乳らしく描かれていて、こちらまで匂ってくる。

Posted on 2011/11/25 Fri. 22:07 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

『もっちゃうもっちゃう、もうもっちゃう』感想  

(作・絵:土屋富士夫、徳間書店、2000年)おしっこが漏れそうなひで君。トイレを探しデパートにかけこむが、そこはキリン用トイレ。別の階へ行くと、こうもり用トイレ、さらに別の階へ行くとそこは… まさにファンタジーである。「こんなところじゃあ、おしっこできないよ~」という嘆き。おしっこが漏れるという生理現象は、本人は辛いが、見ている方は愉快でもある。私達は、外出先でトイレがなかったり、出口が分からなかったりすると、つい、イライラしてしまう。しかし一歩下がってみれば、そんなトラブルは全て笑いになる。広くて明るい心を持ちたい。「もっちゃう」の言葉も愉快だ。

Posted on 2012/01/05 Thu. 22:34 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

thread: 音楽/ステージ - janre: テレビ・ラジオ

tb: 0   cm: 0

『ごめんなさい』感想  

(作:中川 ひろたか、絵:長新太、偕成社、1999年)本書では奇想天外、ありえないことが次々と起こる。車が家にあがりこんでごはんを食べる。神社の鳥居が街の中を歩き回る。最後の頁。車や鳥居や掃除機がみんなぺこんと頭を下げて謝る。「ごめんなさい」おそらく本気で謝ってはいない。迷惑をかけたという意識はあるが、半分は楽しんでいる。この微妙な感じが良い。ルールと常識に縛られた真面目な大人は不快になるだろう。しかし人間の人生の最大の目標は、秩序を守ることではなく、秩序を壊してもなお、笑っていられる幸福さにある。溢れる想像力を楽しもう。そう思えば「ごめんなさい」も言える。
-- 続きを読む --

Posted on 2012/03/11 Sun. 10:13 [edit]

category:   2) 意味不明の世界

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

『海は広いね、おじいちゃん』感想  

(作・絵:五味太郎、絵本館、1979年)子どもがあれこれ語りかけていても、おじいちゃんは半分くらいしか聞いていない。この距離感はとても大切だ。年齢が違うのだから対等な会話になるはずがない。孫が「船だよ」「だれか来るよ」等といってもおじいちゃんは生返事。読者は分かる。そこにはピンク色の不思議な宇宙人が!一向におじいちゃんは気付かない。宇宙人は象や馬に変身して子どもと遊んでいる。真に高度な文明を持つ種族ならば、地球に来てやることは、おそらく侵略ではなく遊びであろう。クッキーをもらってからはそれまでの世界が一変してしまう。こんなクッキー、私も欲しい。
-- 続きを読む --

Posted on 2012/08/21 Tue. 22:53 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

『うそつきのつき』感想  

(作:内田麟太郎、絵:荒井良二、文溪堂、1996年)ダジャレが面白いのではない。ダジャレをとことん描き切ったその爽快感が面白い。やるなら徹底的にやる。無意味なことをあたかも真実であるかのように描く。バカであることを真剣にやる。その姿には感動すら覚える。ヤマアラシが嵐で吹き飛ばされるあたりは、腹がよじれるほど笑えた。多くのダジャレは、うそつきのつきが生み出した世界であろう。彼はたんにダジャレを表現するだけでなく、それを見て読者が笑っているかどうかに関心がある。だから笑わないのだ。彼はその場を共有せずに、家に帰ってこっそり笑う。まさにサービス精神旺盛な芸術家。

Posted on 2013/03/04 Mon. 23:03 [edit]

category:   2) 意味不明の世界

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

『ふしぎなナイフ』感想  

(作:中村牧江、林健造、絵:福田隆義、福音館書店、1997年)固くて冷たいはずのナイフが、様々な形へ変わる。まがる、ねじれる、おれる、われる、とける、きれる、等。誰かが動詞一覧表を読みあげているようだ。言葉がナイフを誘導している。どんな音がするかを想像しよう。これぞファンタジー。生命の躍動だ。どんなに変化しても、驚異の回復力で、再びもとに戻る。後半になると、のびて、ちぢんで、ふくらんで、等となる。観衆はどんな声をあげるか。うぉおっ、わあーっ、すげえ、等。その反応まで想像すれば、ぐっと世界が広がる。最後の頁は、言葉がない。どの動詞が入るかな?ナイフが言葉を追い越した。
image[111
-- 続きを読む --

Posted on 2014/11/22 Sat. 19:21 [edit]

category:   3) 認識を覆す

tb: 0   cm: 0

『パンダ銭湯』感想  

(作:ツペラ ツペラ(tupera tupera)、絵本館、2013年)一体何が面白いのか。パンダが銭湯に入るという点以外は、極めてリアルで写実的である。ファンタジーを描くにしては不完全であり、日常風景を描くにしても不完全である。物語として笑わせるのではなく、パンダのキャラクターで笑いをとろうとしている。その意味では一発芸のようだ。パンダの白黒模様は、雪景色や竹林での保護色だという。黒部分が洋服やサングラスだという表現は、大自然の摂理を小馬鹿にしているように見える。白人が黒人の肌の色を小馬鹿にするかのようだ。そもそも外見を茶化して笑うというそのあり方は、残酷な笑いではないか。
image[139
-- 続きを読む --

Posted on 2015/08/28 Fri. 22:08 [edit]

category:   1) 不思議なことが起こる

tb: 0   cm: 0

『キャベツくん』感想  

(作&絵、長新太、文研出版、1980年)地平線がみえる広い大地。ブタヤマさんは、空腹でキャベツくんを食べようとする。キャベツくんは「ぼくをたべると、キャベツになるよ!」と言う。こんなふうになるんだ。映像が宙に浮かぶ。「ブキャ!」 ヘビが食べたら?タヌキがたべたら?…次々に浮かぶ映像。キャベツくんは急ぎ足、追いかけるブタヤマさん。歩いた分だけ、空間は広がる。空想しているうちは少しだけ空腹を忘れる。最後に、キャベツくんはレストランへ誘う。さらに空間は広がるだろう。空間の広がりこそが長新太の言う「やさしさ」だ。黄色と緑の世界に、ゆったりと風が流れる。
12(02)04.jpg

Posted on 2015/12/11 Fri. 21:24 [edit]

category:   2) 意味不明の世界

tb: 0   cm: 0

『ゴムあたまポンたろう』感想  

(作&絵、長新太、童心社、1998年)ポンたろうが山にぶつかって飛んでいく。鬼の角に当たり、バラのトゲに刺さり、オバケの頭、ジャングルの木等。ぶつかっては飛ばされていく。ポンたろうは、縛られたり、埋もれたりするのが嫌いだ。勿論、痛いわけではない。壊れるわけでもない。柔らかな頭にエネルギーを溜め、大きく跳ね上がる。空高く舞い上がり、再び飛ばしてくれる相手を探す。そんな姿を見れば案外みんな協力してくれるものだ。おかげで遠くまで進めた。本書は人生哲学・成功哲学でもある。周囲の力を吸収する柔軟ささえあれば、遥か彼方まで進むことが出来る。世渡り上手だ。
12(02)05.jpg

Posted on 2015/12/11 Fri. 21:25 [edit]

category:   2) 意味不明の世界

tb: 0   cm: 0

プロフィール

カテゴリ

最新記事

最新コメント

お客様

検索フォーム

リンク


▲Page top