『やっぱりおおかみ』感想  

(作・絵:ささきまき、福音館書店、1977年)いじめ問題の原因の一つはこういうところにある。全ての人物は、悪気はなく、真面目に生きているからこそ、おおかみを退ける。人々にとっておおかみはたんなる影である。おおかみは決して泣いたり怒ったりするわけではなく、強がり、うっすら笑っているようにも見える。とてもかわいそうに思えてくる。このおおかみの親は(おそらく、もう死んでいるが)この姿を見てとても深く悲しむであろう。物語は悲しいが、これを読む子どもたちが現実世界をハッピーエンドにしてくれると期待したい。
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Posted on 2011/10/30 Sun. 21:48 [edit]

category:   4) 多様性を包含

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『わたしのせいじゃない』感想  

(作:レイフ・クリスチャンソン、絵:ディック・ステンベリ、訳:にもんじまさあき、岩崎書店、1996年)一人の子が泣いている。周囲の子たち全てが「自分のせいじゃない」と答える。一人ひとりが少しだけ加担すれば、あるいは無視すれば、それが大きな力となって彼を苦しめる。本書は、無関心の恐ろしさを伝えている。一人ひとりが優しさを持てば世界は変わるだろう。本書は「責任」の本質についても問いかける。責任は事後的に個人に課せられるが、現象は集団的に発生する。責任を問うても根本的な解決にはならない。特に後半で描かれる貧困や戦争などは、いっそう明らかだ。誰にも責任がなくても、集団規模で起こってしまう。集団や国家の恐ろしさだ。
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Posted on 2012/01/05 Thu. 22:29 [edit]

category:   4) 多様性を包含

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『おおきなおおきなおいも』感想  

(作:市村久子、絵:赤羽末吉、福音館書店、1972年)幼児は現実の感覚が十分ではないため、ふわふわとファンタジーの世界に入っていける。「いもほりが延期になった」ということから、イメージが膨らむ。目の前に物が無ければ頭の中で創造する。それが人間の力である。大勢の子どもたちで一つの世界を作り上げるところも、とてもよい。巨大ないもの絵を描いた子どもに「どうやって掘りだすの?」と問いかける先生も素晴らしい。ファンタジーではあるが、魔法や超能力は出てこない。ヘリコプターなどリアルさも含まれており、真のファンタジーとは何かを考えさせてくれる。
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Posted on 2012/01/08 Sun. 23:50 [edit]

category:   3) 遊びの共有

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『メガネをかけたら』感想  

(作:くすのきしげのり、絵:たるいしまこ、小学館、2012年)顔が劇的に変化する。おそらくその変化が嫌なのである。男の子たちは半分はからかっているかもしれないが、半分は純粋に興味深くて寄っていく。特殊な装置をつけているのがうらやましいのだ。また男の子は女の子に近寄って話しかけたいと思っているから好都合、というのもある。先生の語りかけは、クラスの世界観を引っ張っていこうとする力強いもので、とてもよい。母親が担任に相談し、担任が他の先生に声をかけている場面は絵本では描かれていないが、容易に想像できて、そこもよい。大人たちの優しさも距離感も、とても心地よい。

Posted on 2013/07/23 Tue. 23:56 [edit]

category:   4) 多様性を包含

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『えんそくバス』感想  

(作:中川 ひろたか、絵:村上康成、童心社、1998年)明日は遠足。子どもたちは今まで行ったことのない場所へ行く。その非日常的な雰囲気が楽しい。当日の朝、園長先生が寝坊してしまい、それに気づかずにバスは出発してしまう。バスの移動はちょっと退屈だ。曲がったり揺れたりすること、長距離を移動した実感は大切である。公園には遊具がたくさんある。まるで巨大な遊具に子どもたちがかじりついているかのようだ。澄み渡る青空が印象的。園長先生が到着。弁当を忘れてしまったので、子どもたちに分けてもらう。皆とつながる体験だ。おそらく園長先生は子どもたちを楽しませるべく意図的に遅刻した。
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Posted on 2014/03/23 Sun. 22:32 [edit]

category:   3) 遊びの共有

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『教室はまちがうところだ』感想  

(作:蒔田晋治、絵:長谷川知子、子どもの未来社、2004年)学級の雰囲気づくりはとても大切だ。一人が誰かを小馬鹿にすれば全員の雰囲気がマイナスに向かう。勉強が楽しくなるためには、あるいは真の学力を身につけるためには、小さな気づきや仮説や議論がどんどん出てくる実験室のような環境が必要だ。小学生がプライドに固執するのは良くない。この絵本は、緊張して失敗してしまう子どもたちを前に、繰り返し力強く語られる先生の熱いメッセージである。学級というのは先生が理想を語らなければあっという間に崩れてしまう。先生の言葉が、優しく力強く、子どもたちの心に響けば、いじめは起こらない。
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Posted on 2014/10/24 Fri. 22:35 [edit]

category:   4) 多様性を包含

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『みんなが おしえてくれました』感想  

(作・絵:五味太郎、絵本館、1983年。)歩き方は猫が、飛び越え方は犬が、登り方は猿が教えてくれた。本書は奥が深い。馬は走る技術を教えたのではなく、カッコ良さを教えている。鶏は散歩の技術を教えたのではなく、気持ちよく散歩をする生き方を教えている。私たちは技術よりも美徳を学ぶのだ。また蝶々が花の香りや味を教えるというよりは、子どもが蝶々から学ぶ。梟からは夜を学ぶ。学習者の側が「教えてもらった」と感じるのである。細かいことは学校の先生が教えてくれる。本書は、痛烈な大人批判の書でもある。最後の「立派な人」というのは、おそらく皮肉を込めて言っているのだ。
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Posted on 2015/11/24 Tue. 21:28 [edit]

category:   1) 学びとは何か

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『わすれられないおくりもの』感想  

(作・絵:スーザン・バーレイ、訳:小川仁央、評論社、1986年。)アナグマの死に際して動物たちは思い出を語り合う。モグラはアナグマからハサミの使い方を学んだ。カエルはスケートの滑り方を学んだ。キツネはネクタイの結び方を、うさぎは料理の仕方を、それぞれ教えてもらった。老人は知識や技術を伝え、若者はそれを学ぶ。学んでいる時にはそれに熱心であるから意識せず、学んだ後は身についているため意識しない。老人が死んだ時、ふとした時にその功績に気づく。この老人こそ教育者のあるべき姿である。本書のテーマは、死の受容あるいは優しさといったものではなく、文化や学問が永遠に発展し続けることだ。
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Posted on 2015/11/24 Tue. 21:29 [edit]

category:   1) 学びとは何か

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『しりたがりのふくろうぼうや』感想  

(作:マイク・サラー、絵:デービッド・ビースナー、訳:せなあいこ、評論社、1992年。)梟の親子。子が母に問う。「星はいくつあるの?」「空はどれくらい高いの?」「海にどれくらい波があるの?」母親は、即答せずに、自分で確かめるように促す。子の梟は、それらが自分の身体の範囲よりも遥かに壮大であるということに気づく。さらに「海はどれくらい深いの?」と問うた時には、それまで学習したことを応用して答を出そうとする。母親は直接的には何も教えていない。本書は、学びの基本が、自分自身の問題解決にあるということを示す。そこで得た答は自分自身の財産となる。最後に子は、母親が大好きだという。自然に湧き出る感情だ。
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Posted on 2015/11/24 Tue. 21:30 [edit]

category:   1) 学びとは何か

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『おこだでませんように』感想  

(作:くすのき しげのり、絵:石井 聖岳、小学館、2008年)彼はいつも怒られる。家でも学校でも。怒られてばかりという実感がある。虫を女の子に近づける。給食を山盛りにつぐ。大声で歌を歌う。大人が怒る理由は明らかだ。集団生活では逸脱になる。しかし彼はそれを理解できない。彼なりの言い分もある。彼は改善方法が分からないので、いっそう乱暴になってしまう。指導すればするほど遠のく、悪循環だ。本書では先生がその気持ちに気づき、寄り添うことが出来た。先生と母のやりとりが素晴らしい。子どもの悪事を放置してよいわけではないが、叱るというのはとても難しい作業だ。そもそも反省とは何か。
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Posted on 2015/11/25 Wed. 21:13 [edit]

category:   2) 先生の存在

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