『なみにきをつけて、シャーリー』感想  

(作・絵:ジョン・バーニンガム、訳:へんみまさなお、ほるぷ出版、2004年)大人が子どもの言動にことこまかに口をはさむのではなく、いい加減であれば、子どもは自由に自分の空想を広げることができるだろう。ここで描かれている親子の距離感はとてもよい。子どもの空想の世界は、美しく、楽しく、エキサイティングで、感動的である。空想に浸る子どもを現実に引き戻すのではなく、大人たちが現実世界の中に空想の要素を取り入れるようにしたい。この絵本は私達大人に対する重大な問いかけを含んでいる。


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Posted on 2011/10/21 Fri. 22:23 [edit]

category:   1) 冒険の原動力

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『はじめてのおつかい』感想  

(作:筒井頼子、絵:林明子、福音館書店、1977年)みいちゃんはなぜここまで頑張れるのか?お母さんのため?赤ちゃんのため?おそらくは5才の自分という高い理想になりたいという気持ちがあるから。TVバラエティの「おつかい」は、子どもが苦労し涙を流すようにハードルを上げすぎている。この絵本はもっとまっすぐ。そして素直である。この絵本の多くのページは高い地点に立って描かれている。それは林明子の高いところから見守る姿を反映している。お母さんはみいちゃんに「お願いする」ことで、うまくみいちゃんのやる気を引き出している。ちなみにミルクは赤ちゃん用ではなくホットケーキ用。

Posted on 2011/11/06 Sun. 00:00 [edit]

category:   2) 子どもの冒険

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『こんとあき』感想  

(作:林明子、福音館書店、1989年)ぬいぐるみのこんは、あきが生まれた時からあきを支えてきた。いわば人生の先輩だ。今回の旅でも、こんの明るさと力強さが、心細いあきを引っ張っていく。大丈夫という言葉には不思議と説得力がある。身体はあきの方がどっしりしている。こんはふわふわしていて、動作も遅く、破けたり、ちぎれたりする。もう数カ月たてばあきはこんを必要としなくなるだろう。変わらぬ時間を生きるこんと、急速に成長しつつあるあきとの貴重な時間。前半での列車の中と後半の広大な砂丘とが対照的である。美しい風景は、人間の成長や出会いのBGMとしてこそ輝く。

Posted on 2011/12/01 Thu. 21:28 [edit]

category:   2) 子どもの冒険

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『かいじゅうたちのいるところ』感想  

(作:モーリス・センダック、訳:じんぐう てるお、冨山房、1975年)イタズラ好きのマックス。叱られて部屋に閉じ込められる。気がつくと部屋は森になり、マックスは旅に出る。怪獣たちのいるところへ行き、そこで王様になる。怪獣たちは、おそらくは母親や先生たちをモデルとしている。怪獣とは大人のことだ。顔が大きいのはガミガミしてるから。いつも叱られているマックスは、ここでは指示命令する立場だ。ここで不満を解消しているのではない。マックスは、怖いもの知らずで、夢が大きい。叱られて傷つくような子ではないのだ。おそらく大物になるだろう。なお、妄想の時間は実は短かった(ごはんが温かい)。

Posted on 2011/12/15 Thu. 22:35 [edit]

category:   1) 冒険の原動力

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『ちいちゃんとさんりんしゃ』感想  

(作・絵:しみず みちを、ほるぷ出版、1983年)ちいちゃんは三輪車がこげない。ペダルを踏むというのは意外と難しい作業なのだ。サドルに腰掛けた状態で誰かに背中を押してもらえばよい。猫たちと交替で押す。次は坂の上から降りてみる。なるほどこうすれば背中を押さなくて良い。みんなで乗れる。次第に速くなり…転倒! 運転とは複雑な作業だ。出来ないからといって諦めるのではなく、雰囲気だけでも格好だけでもやってみたい。そんな思いは大切だ。学びは真似であり、習うより慣れである。運転の中で最も重要なのは制止すること、安全な着地である。その意味で本書は、まさに人生そのものだ。
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Posted on 2015/11/27 Fri. 21:57 [edit]

category:   2) 子どもの冒険

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『ぼくはあるいた まっすぐ まっすぐ』感想  

(作:マーガレット・ワイズ・ブラウン、絵:林明子、訳:坪井郁美、ペンギン社、1984年)おばあちゃんの家までまっすぐ。美しい花を摘み、森の中を抜け、丘を越え、馬小屋を抜け、おばあちゃんに会う。まっすぐに歩くことは難しい。出会うものや障害を避けることなくそれと向き合わなければならないからだ。子どもは必要なものを手に取り、新しいものには驚き、困った時は工夫する。そして最後には喜びがある。そう、まるで人生そのものだ。大人は安全な道を探す。自動車に乗ったり、楽な方を求める。しかしそれでは困難を乗り越えたことにはならないし、生きていることにもならないのだ。自分の足で歩いたという実感が、自分を強くする。
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Posted on 2015/11/27 Fri. 21:58 [edit]

category:   2) 子どもの冒険

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『よかったね、ネッドくん』感想  

(作・絵:レミー・シャーリップ、訳:やぎたよしこ、偕成社、1997年)パーティに行こうと飛行機に乗るが、壊れて墜落。パラシュートで降りるがなんと穴があいていた。水の中に落ちるがサメがいた。泳ぎが得意だったので逃げきれた。陸にトラがいたが、走るのが得意だったので逃げ切れた。トンネルを掘って抜けるとそこは… 冗談話のようだが結構深い。幸運と不運は交互にやってくるが、全体としては明るい方向に向かっている。不運は外からやってくるが、幸運のうちいくつかは自分の力による。過去に努力した自分が今の自分を助けているのだ。自分の置かれた状況を不幸だと嘆く前に、困難を切り開く力を身につけよう。
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Posted on 2015/11/27 Fri. 21:59 [edit]

category:   2) 子どもの冒険

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『でんしゃにのって』感想  

(作:とよたかずひこ、アリス館、1997年)うららちゃんは電車に乗って祖母の家に向かう。表紙は出発を見送る母の目線。ワニ田駅でワニが乗り、クマ田駅でクマが乗る。動物たちは一見すると怖そうだが、みんな行儀がよい。狭い空間に譲り合いながら座る。目的の駅に到着し祖母が迎えにきてくれた。… 本書は全てうららちゃん中心で描かれている。目的である祖母と電車は赤色である。電車に乗ってくる人々は全て動物に見える。乗り物は、本来出会うことない相手と出会い、本来到達できない地点に連れていく、まさに夢の道具である。と同時に少しだけ恐怖もある。その素直な気持ちが描かれる。
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Posted on 2015/12/02 Wed. 21:14 [edit]

category:   3) 乗り物で遠くまで

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『バスにのって』感想  

(作・絵:荒井 良二、偕成社、1992年)おそらく中南米。旅人は地平線の見える荒野のバス停にいた。ラジオをつけてバスを待つ。初めて聞く音楽だ。トラック、馬乗りの人、自転車の人などが通り過ぎる。旅人は待ち続ける。日が暮れ、寝る。次の日やっとバスが到着。しかし満員のため、旅人はバスに乗ることを諦めた。バスが時間通りに来ないことや満員で乗れないことは途上国ではありがちだ。旅人は怒ることなく、嘆くことなく、その現実を受け入れる。無理矢理バスに乗り込むようなことはしない。荒野をてくてく歩いていく。地平線のような広い心だ。こんな穏やかな気持ちで生きてみたい。
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Posted on 2015/12/02 Wed. 21:15 [edit]

category:   3) 乗り物で遠くまで

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『はけたよ はけたよ』感想  

(作:神沢利子、絵:西巻茅子、偕成社、1970年)パンツがはけないたつくんは、パンツなんかはかなくても生きていけると思い出す。困難な課題を前にすると、それを努力して克服しなくても、生きていけると思いたい。そんな意識は、大人でもよくあることだ。たつくんはパンツをはかずに動物たちに笑われる。それは母の説得よりも効果的。本書では母親がおおらかでよい。子どもに失敗と試行錯誤の時間を与えている。後半でたつくんは、パンツのはきかたを発見する。自分で考えたのである。苦しむところから自信がつく。本書はまるで幼児が描いたようなタッチで子どもの気持ちになる。あとがきは蛇足。
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Posted on 2015/12/24 Thu. 22:11 [edit]

category:   2) 子どもの冒険

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