『しょうぼうじどうしゃじぷた』 感想  

(作:渡辺茂男、絵:山本忠敬、福音館書店、1966年)はしご車、高圧車、救急車の三台は、協力して大きな火災に対応する。ジープを改造した「じぷた」は、小さな火事の時に出動する。なんだか自分がみじめに思えてくる。そんなある日、山小屋で火事だ。燃え広がれば大惨事。じぷたでなければ出来ない大仕事だ。小さな身体という欠点は、状況によっては長所となりうる。「役に立つ」という言葉は、あまり真剣に受け止めるべきではない。どんなに頑張ってもぱっとしない時は、状況が変わるのを静かに待てばいい。いずれ道は開けるだろう。ただし本人の努力は必要。最後の頁では、じぷたを応援したくなる。
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Posted on 2011/10/19 Wed. 21:00 [edit]

category:   1) 仕事をする、働く

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『はたらきもののあひるどん』感想  

(作:マーティン・ワッデル、絵:ヘレン・オクセンバリー、訳:せなあいこ、評論社、1993年)懸命に農作業に取り組むあひる。ご主人様は朝からゴロゴロ。いつも「しっかりやってるか」と命令口調。彼が命令口調なのはなぜか。彼が農場の所有者だからだ。何もしないで利益だけを搾取する存在は奇異に見えてくる。お金を持っている人も、威張っている。あひるは頑張って働く。自然と格闘し、何一つ不平をもらさず、ひたすら懸命に働く姿には頭が下がる。あひるは、倒れてしまう。ついに鶏、羊、牛たちが反乱を起こし、人間を追い払う。まるでマルクスだ。あひるにしてもペンギンにしても人間から見ればユーモラスだが、彼らは真剣に生きている。

Posted on 2011/12/05 Mon. 21:10 [edit]

category:   1) 仕事をする、働く

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『どうぞのいす』感想  

(作:香山美子、絵:柿本幸造、ひさかたチャイルド/チャイルド本社、1981年)現代社会はお客(消費者)の方が偉くて、生産者はまるで一段下に構えているようである。しかしおそらく本来は、生産者が大量に生み出したものを善意で「どうぞ」といって分け与えるのが本当の姿ではないか。能力があって、大きくて力強い心を備えたうさぎちゃんから、職人、生産者の本当の魅力が読み取れる
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Posted on 2012/08/12 Sun. 14:15 [edit]

category:   1) 仕事をする、働く

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『ともだちや』感想  

(作:内田麟太郎 絵:降矢なな 出版社:偕成社、1998年)キツネは、友達になることで金をもらおうとする。本来金で買えないものをあえて買おうとするあたりは、風俗産業にも通じる。クマはお金を払ってキツネと友達になる。クマは、キツネが無理をして合わせてくれていることを知っている。しかしオオカミは違う。キツネが商売でやっていることを、オオカミは友情だと思い込んでいる。キツネが無理をしていることを、オオカミは知らない。まるでボスと家来のようだ。少なくともこの時点では、キツネは本心ではなかったのだから、真の友情とは言えない。素敵な話ではない。本書の後に、どうなるかが重要だ。

Posted on 2012/08/25 Sat. 23:51 [edit]

category:   2) 商売と市場

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『えのすきな ねこさん』感想  

(作・絵:西巻 茅子、童心社、1986年)洋裁屋のうさぎ、漁業のきつね、大工のさる。一方、ねこは絵を描く。三人から「何の役に立つのか」と問われる。ある日、ねこは三人の似顔絵を描き、みんなは喜ぶ。これは個性の話ではなく、職業の話だ。三人は生産的な職業であり、ねこは相手を喜ばせるサービス業である。すなわち芸術の大切さではなく、芸術家という職業の大切さを訴えている。ラストは印象的。ねこは三人が自分の絵を理解できないと分かったときに笑う。見下しているかのようであり、不気味だ。本書は、少しだけ芸術家の優位を説いているように見える。ルサンチマン? 少し怖い。
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Posted on 2012/09/04 Tue. 21:37 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『しろくまちゃんのほっとけーき』感想  

(作:わかやまけん、こぐま社、1972年)前半はおかあさんとしろくま、後半はしろくまとこぐまが登場。ホットケーキといえども作る作業は時間と労力がかかる。それを楽しめるというのはとてもよい。準備に参加していないこぐまが片づけに参加するという点も、とてもよい。片づけを母親の仕事という具合で固定するのは冷たい考え方だ。後半で母親が登場しないのはなぜか?最大2名までしか登場しないのは、人間の子どもが二つのぬいぐるみを持って動かしているからか?
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Posted on 2013/04/15 Mon. 00:13 [edit]

category:   4) 共同体の形成

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『ごろりん ごろん ころろろろ』感想  

(作:香山美子、絵:柿本幸造、ひさかたチャイルド/チャイルド本社、1984年)うさぎがまるいテーブルを作る。それをみんなのところへ持っていく。運んでいるとロバやキツネが手伝ってくれる。テーブルを設置するとみんながそこで絵を描いたり、本を読んだりする。ゆったりした雰囲気が実によい。うさぎはすぐさま家に帰り、今度はイスを作る。うさぎはの姿は、力強く頼もしい。自然のものを加工してみんなが使用するものを作る。作ったものは「どうぞ」とプレゼントする。生産者の優しさと誇りを感じる。これこそ本来の仕事である。現代社会の仕事とは、貨幣を所有する人に奉仕して貨幣を受け取ることだが…どうも歪んでいる。
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Posted on 2013/07/06 Sat. 23:40 [edit]

category:   1) 仕事をする、働く

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『チンチンでんしゃのはしるまち』感想  

(作・絵:横溝 英一、福音館書店、2002年)長崎市内を走る路面電車。朝6時、点検後に出発。まだ暗い。市場、駅前の停留所。多くの人々、子どもやお年寄りも利用する。まさに生活の一部であり、皆に愛される存在である。乗客がベルを鳴らすと次で停車する。このアナログな雰囲気がいい。右に曲がる方法、雪では砂をまく等、機械が詳細に描かれる。ここで描かれる機械はとても人間的であたたかい。チンチン電車は風景の一部だ。読者は最後の地図を眺めながら再度、個々の風景を思い出すこともできる。本書は写真ではなく絵で表現される。それにより、人々の意識の中の風景であることが伝わる。
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Posted on 2013/08/17 Sat. 23:08 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『ふうせんクジラ』感想  

(作・絵:わたなべ ゆういち、佼成出版社、1989年)街ではお祭り。クジラのボンが風船を食べると、ぷかぷかと浮いてしまう。ふうせんクジラは、農場や街並み、道路やビルを見下ろしながらゆっくり移動する。サッカー場でゆっくり降りると、人々が集まる。クレーンやトレーラー等で大行進。警察が誘導し、ボンは海へと帰っていく。巨大なクジラと小さな人間、重さと軽さ、高さと低さ等、様々なスケールの違いが描かれる。一人ひとりの表情や振舞いは個性的であり、それを全体で見渡せば社会や国家が見えてくる。クジラ輸送作戦を通して人々の気持ちは一つとなり、みなで大きな感動を得ることができる。
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Posted on 2013/08/24 Sat. 10:48 [edit]

category:   3) 個性と役割分担

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『もりにいちばができる』感想  

(作・絵:五味 太郎、玉川大学出版部、2008年)自分のためだけに生産するよりは生産物を交換した方が全体としては豊かになる、という経済の仕組みを描いた絵本。まるでアダムスミスだ。ただし経済の仕組みが浮き彫りになればなるほど、読者には問題点も見えてくる。バナナの木の所有は正当か。永遠に働き続けなければならないのか。需要と供給のバランスが崩れることもある。本書では貨幣が描かれていないが、もしこの世界に貨幣が登場すれば貧富の差となるであろう。本書は経済の基本を説明しているように見せかけながら、資本主義の問題点を批判し、それを読者に考えさせようとしていると思う
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Posted on 2013/09/02 Mon. 23:06 [edit]

category:   2) 商売と市場

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