『ぼちぼちいこか』感想  

(作:マイク・セイラー、絵:ロバート・グロスマン、訳:今江祥智、偕成社、1980年)消防士になろうとするが梯子か壊れてしまう。パイロットになろうとするが飛行機が壊れてしまう。カバは全ての仕事において失敗する。子どもはこのカバの何を笑うのか。読者は二つに分かれる。彼が愚かであることを嘲笑し、彼を見下そうとする人と、全ての人が失敗することに共感し、生命の躍動を素直に楽しもうとする人である。本書は後者を求めており、私も後者を楽しむ。失敗してもいいじゃないか。「ぼちぼちいこか」という言葉は、自然体で生きる素晴らしさを示している。目標到達に固執し、失敗すると絶望するお固い人間に対する批判でもある。
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Posted on 2012/07/17 Tue. 23:34 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『しゃっくりがいこつ』感想  

(作:マージェリー・カイラー、絵:S.D. シンドラー、訳:黒宮純子、らんか社、2004年)ガイコツなのに、しゃっくりがとまらない。歯磨きしても何をしても止まらない。私達は無意味だから笑う。彼が困惑している姿を笑う。ガイコツという不気味な存在が極めて人間的な言動をするのもおかしい。ただ、ガイコツ自身は、普通に生きているだけなので、それを笑うのはちょっとかわいそうだ。彼は私達を笑わせているのではなく、笑われている。もう一歩考えを進めてみよう。私達はX線で見れば、みんなガイコツである。いくら化粧をしても、いくら威張っても、しょせんガイコツだ。「みんな一緒だ」と思いながら笑うのは、幸せなことだと思う。

Posted on 2012/10/03 Wed. 21:44 [edit]

category:   2) その一生懸命さが面白い

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『自殺うさぎの本』感想  

(作:アンディ・ライリー、青山出版社、2005年)自殺という言葉をそのまま受け止める人は笑えない。これはたんなる自殺ではない。このまま時間が進めば死んでしまうと予測させる「自殺計画」だ。読み手の想像力が必要。死ぬ。死んでもいい。覚悟を決めた瞬間に生きる辛さから解放される。わたしたちは義務やルールの中で生きる。その鎖をちぎるうさぎの姿には、むしろ爽快感さえ感じる。描かれているのは自殺だが、うさぎの姿はとてもエネルギッシュで、そのアイデアはとても豊かだ。だからこそ笑える。自殺は悲しいことである。それをここまで明るく、生き生きと表現するという点が素晴らしい。

Posted on 2012/12/07 Fri. 23:11 [edit]

category:   3) ブラックジョーク

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『いっぽんばしわたる』感想  

(作:五味 太郎、絵本館、1979年)子どもが文章を創造すると、その通りに動物が橋を渡ってくれている。そんな印象を得た。それぞれの動物がどんな心境で、どのような理由で渡っているのかを想像してしまう。渡りたくないのだが、子どもがその言葉を発してしまったのだから仕方ない。言葉は、意味もなく発せられ、それを聞いた側はそこから世界を読み取る。シニフィアンの戯れか。

Posted on 2013/06/07 Fri. 22:55 [edit]

category:   2) その一生懸命さが面白い

thread: 絵本 - janre: 本・雑誌

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『まどから★おくりもの』感想  

(作・絵:五味太郎、偕成社、1983年)相手が本当に欲しがっているものをプレゼントするというのは難しい。何が欲しいと質問すれば教えてくれるのだが、それだとプレゼントではなく発注である。与える側と受け取る側のズレをとても気持ちよく楽しく満たしてくれるこの絵本は、プレゼントの本当の楽しみ方を教えてくれている。今の子どもはサンタにリクエストをしてその通りのものが届く。このサンタのあり方はつまらない。「え?なにこれ」というものをもらったときにサンタと子どもの交流が始まるのではないか。
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Posted on 2014/11/28 Fri. 22:39 [edit]

category:   4) 全てを笑顔に変える

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『おさるとぼうしうり』感想  

(作・絵:エズフィール・スロボドキーナ、訳:松岡享子、福音館書店、1970年)帽子を頭の上に重ねて売る行商人がいた。真面目さが伝わる。寝ている間に猿たちが帽子を奪ってしまう。猿は木の上にいる。返してくれ! 帽子売りが手を挙げると、猿も手を挙げる。こちらの動作を真似る。自分の動きを真似されるとからかわれたような気になる。行商人は一層強く怒るが、猿はその姿をも真似してしまう。考えてみよう。猿はこちらをからかっているのか? 否、たんに真似ているだけだ。猿の気持ちになってみよう。表紙はそれを示している。真面目な人間ほど、問題解決は困難になる。押してだめなら引いてみよ。そんなゆとりも必要だ。
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Posted on 2015/12/09 Wed. 22:31 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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『ねずみくんのチョッキ』感想  

(作:なかえよしを、絵:上野紀子、ポプラ社、1974年)母に編んでもらった大切なチョッキ。貸して欲しいと頼まれる。アヒル、サル、ライオンらに貸してあげる中で、大きくなってしまう。もうチョッキとしては使えない。ガックリしてしまうねずみくん。本当は貸したくなかったはずだ。さて私たちは、ねずみくんの姿を見て何を思うか。優しい者は最後に損をするという教訓か。彼が不幸になっている姿を笑うのは気がひける。本書が示しているのはいくら善意であっても傷付くことがあるということだ。最後の頁でゾウと遊んでいる。本書は、悲しみに苦しむよりも、乗り越えて楽しく生きよと伝えているようだ。
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Posted on 2015/12/09 Wed. 22:32 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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『ぶたのたね』感想  

(作:佐々木マキ、絵本館、1989年)狼は走るのが遅い。いつも豚を捕まえることができない。狐に相談すると、豚の種なるものをもらった。育てると大木にたくさんの豚がなる。(これは厳密には木の実である)たまたま象が走り去り、せっかくの豚たちが全部落ちてしまう。…そしてやはり逃げられてしまう。狼は、少し知恵を使えば豚を捕まえることは可能だ。穴に誘い込むとか。捕まえた後もなぜ縛っておかない? すなわち狼は知恵に欠けるのだ。やっとつかまえた豚に蹴られてしまうのだから、ケンカも弱いのだ。にもかかわらず足が速くなりたいとだけ願うあたりがマヌケ。そこを笑おう。
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Posted on 2015/12/09 Wed. 22:33 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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『かしこいビル』感想  

(作ウィリアム・ニコルソン、絵ウィリアム・ニコルソン、訳:松岡享子、吉田新一、ペンギン社、1982年)少女メリーがおばさんの家に遊びに行く。カバンの中にたくさんのブラシや玩具を詰め込んで準備をする。なかなか全部きれいに入らず、入れ直しをしてやっと全部入った。と思ったら、最も大切にしている兵隊の人形「ビル」を入れ忘れてしまった。メリーが驚き、困っていると、ビルが起き上がって走り出す!さらに列車に追いついてメリーのもとへ! まるで無声映画を見ているようだ。本書全体が躍動感とスピード感で溢れる。物忘れという失敗を、笑いと愛情で包み込む力強さを感じる。本書で「かしこい」というのは知能がある玩具という意味であろう。
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Posted on 2015/12/09 Wed. 22:37 [edit]

category:   2) その一生懸命さが面白い

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『どうすればいいのかな』感想  

(作:渡辺茂男、絵:大友康夫、福音館書店、1980年)表紙は裸のくまさん。目の前にはシャツ、パンツ、帽子、靴がある。それぞれ身に付け方がある。間違えてシャツをパンツのようにはいてしまうとどうなる?帽子を靴のようにはいてしまうとどうなる?…その絵が、なんとも笑える。間違えてこそ正しさが実感できる。本書は、正しいことを教えているというよりは、間違えることの意味を問うている。当たり前といえばそれまでであるが、当然のことを敢えてずらしてみれば、なんだか不思議な世界が浮かび上がる。間違えるということを、広い心で受け止め、笑って進むことが大切だ。そのうち気にしなくなる。
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Posted on 2015/12/28 Mon. 22:34 [edit]

category:   1) 失敗を笑おう

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