風と空といもむしごんたろう
絵本は哲学
『やきもちやきのねこ』感想 
『そらいろのたね』感想 
『オレ、なんにもしたくない』感想 
(作:デヴ・ペティ、絵:マイク・ボルト、訳:小林賢太郎、マイクロマガジン社、2019年)何もしたくないという無気力なカエル。何もしたくない、したいことが見つからないということを強く主張(自慢?)しているかのようだ。周囲がアドバイスをしてもそれは面白くないという。冷ややかではあるが、もっと面白いことがしたいという願望(向上心?)なのかもしれない。他者が何かに夢中になればなるほど、夢中になることがなければ焦ってしまう。焦るのはよいが、開き直ってしまうとよくないだろう。周囲のもの全てが下らないように思えた時こそ、全てのことに着手するべきだ。後半では美しい風景に感動する。心が動くということが大切だ。
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Posted on 2023/01/15 Sun. 20:28 [edit]
category: 2) 生き方を間違えてみる
『あめのひのえんそく』感想  
(作絵:間瀬なおかた、ひさかたチャイルド、2003年)バスで遠足。雨天決行のぶどう狩り。子どもの目から見るバスは巨大だ。雨はイヤだが実は雲は薄い。雨の雰囲気がよく描かれる。みるみるうちに風景が変わっていく。トンネルを抜けると、もみじ山、かえで山、たんぼ。絵本の範囲で広い空間を表現できている。じっとしていて体は疲れるが、風景が変わってテンションが上がる。中にはバス酔いの子もいるはず。みんなで同じ体験をしていることに意味がある。晴れてきた時には先生も友達もみんなで喜ぶ。その向こうに虹が見えてさらに歓喜。仕掛け絵本としても素晴らしい。家に帰って父母に話したくなる。
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Posted on 2023/01/15 Sun. 20:26 [edit]
category: 3) 乗り物で遠くまで
『どうして どうして』感想  
『はなになりたい』感想  
『くさはら』感想 
(文:加藤幸子、絵:酒井駒子、福音館書店、2008年)母父兄妹の4人で河原遊び。妹は蝶を追いかけて、草原に入り込む。風が吹くとまるで波のよう。腰を降ろすと葉に囲まれた狭い空間。川や鳥の音はむしろはっきりと聞こえてくる。自分だけの場所と思いきや、母が見つけてくれた。なんとも言えない空気感、光の加減、家族のあたたかな表情、妹の息遣い、すべてがリアルに描かれる。素晴らしい表現だと思う。やさしい家族だからこそ、家族から離れて動植物の姿を見ることができる。そうこうすると今度は自然に圧倒され、自分の存在が消えかかる。母がみつけると、私はここに生きているという実感となる。
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Posted on 2023/01/11 Wed. 20:31 [edit]
category: 1) ここは私の居場所
『星につたえて』感想 
(作:安東みきえ、絵:吉田尚令、アリス館、2017年)くらげと流れ星が会話をする。強烈な好意をいだいたようであるが、言葉が出なかった。流れ星は数百年後に帰る。くらげが死んだ後、その言葉を子どもや子孫たちに伝えていく。好意の言葉だけが伝わるが、流れ星に対してという点が忘れられてしまった。人々は好意の言葉をよく使う。そこで流れ星が再び帰ってくる、という内容。くらげと流れ星がなぜ好意を持ったのか分からない。自分の好意を、自分では言えず、代わりに子孫が伝えるのも分からない。だいすきという言葉が強烈。絵は綺麗だが意味は分からない。最近、恋愛と生命を混ぜる絵本が増えた。
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Posted on 2023/01/11 Wed. 20:30 [edit]
category: 2) 死期を感じる時
『みんな びっくり』感想 
『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』感想  
(作:柏原佳代子、えほんの杜、2018年)王様が不在時、部下たちが王様の部屋で自由に遊ぶ。突然王様が帰ってきた。部屋に到達するまえの100秒間で全てを元通りにするべし。パニックになる部下たち。寝ている奴を起こし、大慌てで制服に。数えているだけだが、部下たちの叫び声が聞こえてくる。その思いがよく伝わる。部下たちは困っているが、見ているこちら側は笑ってしまう。いつもの様子と比べればその違いを発見できる。地位や立場が違うと緊張したり萎縮したりするが、こうやって隙を見ては転倒するとよい。威張っている王様よりも、ドタバタしている部下の方が人間的で魅力的である。
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Posted on 2023/01/11 Wed. 20:28 [edit]
category: 2) その一生懸命さが面白い