『きょうはみんなでクマがりだ』感想  

(作:マイケル・ローゼン、絵:ヘレン・オクセンバリー、訳:山口文生、大日本絵画、2006年)兄弟みんなで熊狩りだ。丘を越え、湖や沼地を越えて熊のねぐらへ向かう。風や雨、水や空気の質感がよく描かれる。怖いからやめて引き返そうという気持ちもあるが、勇敢な歌を歌うと気持ちも前向きになる。いざ熊を見つけると大急ぎで逃げる。決して本気で熊を狩るつもりはない。そういう遊びである。長男(父?)は半分は散歩、暇つぶしのつもりかもしれない。一日がかりで遠方まで出かける。ただし遠いところに目的があると燃えてくる。静かな風景が冒険の途上に早変わり。風や音は逆境となる。おそらく熊も遊び半分だ。遊んで欲しいと思っている。
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Posted on 2020/01/10 Fri. 22:11 [edit]

category:   3) 遊びの場

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『バルバルさん』感想  

(作:乾栄里子、絵:西村敏雄、福音館書店、2008年)理容のバルバルさん。今日はなぜか動物たちがやってくる。ライオンやワニ。どんな相手が来ても嫌がったり断ったりしない。とても真面目。髪を切ること以外のことも少しならOK。散髪というよりはカッコよくする仕事である。青色はスッキリする色。読み手は少し笑ってしまうかもしれないが、それは止めよう。客が入ってきて、少しだけかっこよくなる、少しだけ幸せになっていく。仕事人は客の個性やニーズに合わせながら、高度な技術を披露していく。実はこれはサービス業の一般的原理だと思う。客はバルバルさんの人柄と技術にひかれて再び訪れる。
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Posted on 2020/01/10 Fri. 22:10 [edit]

category:   1) 仕事をする、働く

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特撮ヒーローの条件  

 昭和の古きヒーローに慣れ親しんだ者からすれば、最近の特撮ヒーローは本当に酷い。それを整理してみます。ゴレンジャーや仮面ライダー等を長年見てきた感覚から言えば、正義には一定の形があります。
 まずは悪い人々が悪いことをしていなければなりません。子どもでも分かるように、黒を基調とし、怪物や化け物的な要素を含むおどろおどろした雰囲気が必要です。彼らは悪いことをたくらむだけでなく、実際に悪いことをしていなければなりません。民間人、まったく罪のない人々を殺したり、いじめたりすることが必要です。幸せな家庭や子どもの夢や温かな関係が、悪い人々によって崩されていく、そこが重要です。彼らには思いやりとかいたわりといった心はありません。弱い者は潰してしまう。権力や富を一手に握って自己満足に浸る。それだけなのです。世の中にもたくさんありますよね。
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Posted on 2020/01/10 Fri. 22:07 [edit]

category: アニメ・特撮

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『おっぱいのたび』感想  

(作:ザ・キャビンカンパニー、岩崎書店、2018年)赤ちゃんがママのおっぱいに吸い付く。ママが椅子に変わっても吸い付く。ふとんに変わり、滑り台に変わり。さらには山、雲、夕日などに変わっていく。最後の月は表紙にもなっている。赤ちゃんを包み込む両腕のようだ。とても印象的である。おっぱいが旅をするというよりも、あらゆるところにおっぱいを求めて旅をしていると言ってよい。大人になってプラモやロックに夢中になるというのも基本的にはおっぱいを求めているのではないか。ママのおっぱいは愛である。私たちは母親とつながるような原理で、他者とも、国家とも、自然ともつながっていく。
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Posted on 2019/12/28 Sat. 18:04 [edit]

category:   1)赤ちゃんの誕生

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「ガンバの冒険」感想(6)  

6)残酷さと恐怖、戦う勇気
 「ガンバの冒険」におけるメインのテーマは、おそらくは「勇気」だったと思います。小さなネズミたちが大きな動物や自然に立ち向かい、数々の危機を乗り越えるということが話の中心でした。猫から逃れる、ということは2話でも見られました。人間に追いかけられることはよくあります。5話では、巨大魚とウミネコという二つの脅威に挟まれます。11話でも猫、12話では犬、凶暴な動物たちは数多く登場します。その都度、あれこれと試行錯誤しているうちに道が開けたり、力を合わせて戦ったりして、困難を乗り越えてきました。
 その殆どが、「危機を回避する」「うまく逃げる」といった色彩が強かったように思えます。それに対して7話から登場するザクリは特別でした。ザクリの残虐さというのは、食糧としてリスを取って食べるという点、島全体を支配しているという点、さらには食糧以上に殺戮を始めたという点、イエナを人質にとって全員をおびき寄せて多くのリスたちを殺してしまおうという点にありました。今までの猫や犬の残酷さ(目の前にいたから襲ってくる)とはレベルが異なっています。それゆえ、その残酷な悪に対して立ち上がる必要性が出てきたのです。逃げて終わりではなく、戦って勝利しなければなりません。戦いはある種の頭脳戦のようでもありました。おびき寄せてねぐらをさがすというネズミたちの作戦は失敗します。やっとみつけたねぐらを水攻めにしようとしますが、それも失敗します。ザクリがネズミたちの知性よりも上をいくという瞬間でした。壮絶な戦いですね。みなとてもカッコよく見えます。追い詰められたガンバたちは直接格闘するしかありませんでした。爪も歯もないと悩んでいたクリークが尖った枝を突き刺してそのまま滝下へ転落していきます。
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Posted on 2019/12/14 Sat. 21:48 [edit]

category: アニメ・特撮

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「ガンバの冒険」感想(5)  

5)登場人物の強烈な個性、そして成長
 本作品ではそれぞれのキャラクターの個性が光っています。とてもよく考えられていると思います。少し振り返ってみましょう。
 ガンバは、とにかく強いことを自慢したいし、可能性を追求したい。無駄なほどに明るくて元気という「幼児性」のようなものがありました。その意味では視聴者の多くはガンバに共感しながら見たと思われます。ガンバは見通しをつけたり、冷静に考えたりといったことは苦手です。しかし途中で何度が挫折しそうになった時に、周囲に助けてもらうのです。(6話では海に流されそうになったところをヨイショに助けてもらう。10話では痙攣で動けなくなったところをシジンに助けてもらう。15話、瀕死の状態でガンバは仲間たちを思い出す。)結局、このような過程を経て、仲間思い、みんなのために頑張るというその姿になっていく。
 それに比べるとヨイショは随分と冷静です。みんなの兄貴分といったところでしょうか。どっしりしていて自信に満ちていました(ただ、舟を操ったり海を泳いだりすることは得意ですが、高いところは苦手でした)。ヨイショはそれまで涙を流すなんてことは殆ど無かったはずです。そんな彼が涙を流す印象的なシーンが20話です。ノロイがネズミたちを嘲笑しているのを見て、彼は怒りとともに悔し涙を流すのです。いつでも殺せる、ゆっくり殺そう、薄汚いネズミたち。彼にとってはこれまでの長旅で多くの困難を克服してきたという自負があります。自分に対する自信というよりは、ネズミたち全員が弱さを補い合い、力を合わせ、そして時にはケンカや対立を乗り越えてきたという自信です。それが軽く扱われたことにどうしようもない悔し涙を流しているのだと思います。
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Posted on 2019/12/11 Wed. 21:50 [edit]

category: アニメ・特撮

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「ガンバの冒険」感想(4)  

4)対立とケンカを乗り越える
 本作品では様々な出会いと別れ、友情と憎しみ、対立と協力などのテーマが描かれていました。それぞれの世界で生きていたネズミたちが、忠太の登場(ノロイの存在)を前に集まっていきます。お互いが自己紹介をしながら、少しずつ関係を深めていきます。人間に捕まってしまった忠太を助けるシーン(4話)は印象的でした。忠太がかわいそうというよりはむしろ、この少ないメンバーで力を合わせなければならない、他に頼る人がいない、そういった閉鎖的環境だからこそ協力するのだと思いました。
 船が難破して軍艦島に漂流したり、ドラム缶による潜水艇を作ってそれが壊れたり、非常に苦しい状況であるのに(5話、6話)、彼らは明るい。それはみんながいるからだと思います。6話のラスト、海に放り出されたネズミたちは皆で一緒に歌を歌います。大波を受けてバラバラになってしまいそうです。本当はとても不安でいっぱいなのですが、大きな声で歌を歌って心を一つにする。すると不思議と元気が出てくるものです。この気持ち、なんとなく分かる気がします。
 皆が死にそうになった時は助け合うが、ちょっと落ち着いたら今度はケンカです。潜水艦が壊れた際には、責任のなすりつけ合いをしていました。むしゃくしゃした気持ちをストレートにぶつける。特に最初の頃にはそんな姿がよく描かれていたと思います。
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Posted on 2019/12/07 Sat. 22:11 [edit]

category: アニメ・特撮

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「ガンバの冒険」感想(3)  

ガンバの冒険を考える第三回目です。
3)なぜ旅に出たのか、なぜ冒険を続けるのか
 なぜ彼らはノロイ島へ旅に出たのでしょうか。それぞれの理由は異なります。
 ガンバは、力が有り余っている状態でした。ヨイショとケンカをしたり(1話)、船の中を走り回ったり(2話)、その若さというかパワーといったものが溢れているようでした。忠太に対する優しさというのもありますが、それよりも何よりも、圧倒的な脅威や恐怖に対して自分の力を発揮させたいという気持ちが強いのでしょう。最初は海が見たいというその気持ちを持っていました。ガンバは最初のシーンから夢というか理想というかそういう遠いものを見つめていたのです。以前はパチンコ店の裏に住んでいたと言います。物に溢れていたのですが、狭い場所で面白さに欠けていたのかもしれません。なぜのろい島へ?というイカサマの問いかけに対するガンバの姿が印象的でした。分からない、しっぽが立つんだよ!というシーンです。後ろに綺麗な海が見えます。このシーンは中心がガンバでなく海です。海が呼んでいるという印象さえ受けます。
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Posted on 2019/11/30 Sat. 22:03 [edit]

category: アニメ・特撮

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「ガンバの冒険」感想(2)  

 ガンバの冒険の魅力、良さについて語っています。
2)子どもにも分かりやすい展開、起承転結。
 26話全体を眺めてみると、のんびりとゆっくり静かに流れる回(2、6、10、13)もあります。11、12、17あたりも、わりとのんびりした回だと思う。それ以外の回は命を賭けて戦うような非常に激しいテンポの内容となっています。のんびりした回というのは、一見したところ退屈な回のように思えますが、後の回を魅力的に引き立てるという点でとても大事です。ようになっているのです。のんびりと静かな回があるからこそ、次の激しい展開が心にずっしりと来るのです。その意味では26話全てが重要な位置づけを帯びた回だと思います。総集編として作られた劇場版は1、2、10といった静かでほのぼのとした回と、ノロイとの戦いの回で構成されていました。とても良い構成だと思います(後半を盛り上げるためにも前半は静かでゆったりしていた方がいいのです)。
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Posted on 2019/11/26 Tue. 21:53 [edit]

category: アニメ・特撮

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「ガンバの冒険」感想(1)  

 1975年に放映されたテレビアニメ「ガンバの冒険」についての感想です。この作品の素晴らしい点についていくつかにまとめてみたいと思います。
 1)主人公ネズミの視点で雄大な世界を描くこと。
 本作品の主人公はネズミたちです。一見したところ可愛らしい縫いぐるみのようなキャラクターです。ネズミ、リス、ウサギあたりは、かなりデフォルメされていて、漫画的です。表情は一見したところ「雑」に描かれているようです(実際にはそのポーズや動きなどがかなり丁寧に考えられていますが)。一方、ノロイをはじめとして猫や犬、馬や牛といった動物たちはまるで恐竜のように劇画風に描かれています。写実的、というのも少し違います。山や川、海や波、空や太陽などは独特の油絵風の技法で描かれています。ネズミから見た世界というものを描いています。圧倒的なスケールで存在する山や海を背景に、広い草原をちょこちょこと素早く動くネズミたちの姿、その対比がとても印象的で素晴らしいと思うのです。カラス岳の断崖絶壁、蒸気機関車、貨物船などは、ゴツゴツとして荒く、重く、冷たく、硬いということを表現しています。ネズミは小さくて弱い存在であり、その世界はネズミたちにとっては危険がいっぱいなのです。下から上を見上げるような視点、構図が見事です。
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Posted on 2019/11/22 Fri. 22:29 [edit]

category: アニメ・特撮

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